暁 〜小説投稿サイト〜
Deathberry and Deathgame
Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 22. Stand on the Sky
[5/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ジョンに背を向け、私たちは主住区へと歩みを進める。
 遠くに見える夕日の眩さが、明日の天気も良好であることを知らせていた。



 ◆




 アインクラッド全体で見ても、六十一層は極めて異質な構造を取っている。

 フロアの高さは他の層の三倍近く、総面積も広い。見渡す限りの大草原の上に主住区となる街『ロザージュ』と大小様々な島が浮かぶ形となっていて、それら全てを覆うように安全圏が設定されている。
 フィールドダンジョンも、地続きのごく普通ものから浮島だけの空中ダンジョンまで存在し、宙を飛ぶ飛行モンスターも多く生息してるせいで、攻略の難易度は他と比べても高いと言える。間合いの外をブンブン飛ばれてヒットアンドアウェイ、なんてやられた日には、間違いなくHPが黄色か赤に染まる。

 加えて、この階層内では、プレイヤーが空中を自在に移動できるようになっている。
 NPCショップで無料配布されている『スカイ・ハイ』という名前のアンクレットを装備することで、プレイヤーは『空中を翔ける能力』か『体表に空気の鎧を展開して防御力を引き上げる能力』のどちらかを自由に選択できる。
 前者は機動力重視のプレイヤーに、後者は安定性重視のプレイヤーのために作られていると思われる。特に空中歩行は(流石に迷宮区内では使えないという制限があるみたいだけど)上空からの急襲やふっ飛び中の足場の確保など、バトルスタイルに幅が出来るメリットが大きい。付けているだけで、落とし穴なんかの一部トラップを無効化できるし。

 しかしこのシステム、使いこなすのは意外と難しい。

 常に足元に「空気を踏みつける意識」を張り巡らせていないと足場が消える。というか、この「空気を踏みつけ」「足元に堅固な足場を構築する」感覚自体、曖昧でよくわからないってプレイヤーが、私も含めてほとんどだった。
 初日でさっくりできてたのは、何でも魔人こと血盟騎士団長のヒースクリフと、何故かあっさり順応してみせた一護くらいだ。フロア解放の十分後、慣れない空中歩行システムに四苦八苦する私たちを余所に、二人して余裕綽々の顔で宙に立っていたのを今でも思い出す。戦闘以外でもあの二人はバケモノクラスだと、私たちが実感した瞬間だった。

 そんな出鱈目二人組はさておいて、その難易度のため大多数のプレイヤーが地道な練習を強いられ、苦手な者は走るどころか、立つことも困難な有様だった。鍔迫り合い中なんかに一瞬でも気がそれれば足場が崩れて落下、地面に叩きつけられる。逆に足場にばかり意識を取られていると、競り負けてダメージを負うことになる。便利な反面高難易度なシステムに、少なくないプレイヤーが防御力アップへと能力を切り替えたみたいだった。

 しかし、空中歩行の技術がなければ、迷宮区へと続くダンジョン内の
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ