Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 22. Stand on the Sky
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口にはポーションの瓶が咥えられていた。とりあえず、お疲れ、と短く労っておく。
私の言葉に片手を上げて応じた一護は、空になったポーションの瓶を投げ捨つつ、短く息を吐いた。
「ったく、五分でくたばるくらい弱っちいのに、なんであんなのがココの門番なんてやってんだよ。大人しく琵琶湖に帰れってンだ。トリ人間だけによ」
「ただいまのジョーク十八点。無論、百点満点で」
「……殊勝に『お疲れ』とか言ってきたから、今日は珍しいなと思ってたらコレかよ……必死こいてボス斬ってきた相方に対する台詞じゃねーだろ、それ」
「私、お笑いに関しては辛口なの。悔しいならもっとセンスを磨いて」
「オメーのクソ音痴っぷりには、まだ勝ててる気がするな」
いつものノリで軽口の叩きあいを始める私たち。その応酬を見てやっと我に返ったらしいアスナが、慌てて一護に詰め寄った。
「ちょ、ちょっと一護! さっきの攻撃ってなんなの!? っていうか、あのボスの赤い光みたいな攻撃、見切ってたの!? 突進攻撃相手にジャストガード決めてるし、ホントどういう身体してるのよ!!」
普段の毅然とした彼女らしくない振舞いだけど、それも無理ないと思う。それくらい、さっきの攻防、特に素手でボスを止めたことは非凡な行動だったのだ。
このゲームでジャストガード、つまり相手の攻撃をダメージを受けずにふせぐスキルを成功させる方法は、主に二つ。
敵の攻撃の瞬間に盾で同威力の弾きを行うか、あるいは相手の攻撃速度に合わせて自分の防御部位を動かし、接触時の衝撃を限りなくゼロに抑え込むかのどちらかだ。
先ほどの状況から判断するに、この死神代行サマは、腕をばねのようにして敵の拳打の衝撃を削ぎつつ受け止め、かつ両足の踏ん張りや地面に突き立てた右手の刀によって突進自体の威力に対抗。私たちがいる地点に到達するまでにそのエネルギーを削ぎきってみせた、ということになる。
それをやろうと思った一護の度胸にも驚きだけど、何よりそれを実行しきってみせた彼の身体捌きの方が凄まじい。一層のボス戦以来度々思うことだけれど、この人は普通に戦うということをしないんだろうか。
関心とも呆れともつかない感想を抱く私を余所に、一護はいかにも「鬱陶しい」って感じの目で閃光閣下を見やった。
「あ? なんだよ。いたのか、アスナ」
「いたわよ最初から! 大体、私が一人であのボスと戦ってるところに貴方たちが来たんでしょう!?」
「そうだっけか?」
「アスナ、この人脳みそ八ビットだから、記憶能力は期待するだけムダ。それより、お腹すいた。早く帰ろ」
「あ、テメエ! 言うだけ言って逃げんなコラ!」
「それは貴方もでしょ、一護!!」
ぎゃいぎゃいと騒ぎながら、もうすぐ日が落ちるダン
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