Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 22. Stand on the Sky
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れた。
ボスもそれを追うように飛翔し一護に接近するが、
「――【恐怖を捨てろ。『死力』スキル、限定解除】」
距離が詰まる前に一護のコマンド詠唱が完了し、青い光が彼の身体を包み込んだ。
同時に、彼の頭上に表示されたHPがイエローまで減少し、代わりに羽根の生えたブーツのアイコンがカーソルの上に追加された。
つい最近出現した、HPを犠牲に任意のパラメータに一定時間プラス補正をかける『死力』スキルの追加オプション、『限定解除』だ。
ボスはそれに臆することもなく、威嚇するように翼を大きく広げた。やっと見つけた、予備動作らしい爪の振りかぶりを経て、再度の閃光が瞬き――、
「遅えよ」
一護のはるか手前で爆ぜた。
「「……え?」」
私とアスナの腑抜けた声が重なった。現実に思考が置いてきぼりを食らった感じがする。
一護はいつの間にか刀を振り切った体勢を取っている。敵の攻撃にばかり気を取られていて一護のアクションに目が行っていなかったせいか、何をしたのか分からなかった。もちろん、彼のHPは減っていない。
その動きに気づけなかったこともだが、それよりもどうして閃光が一護に到達する前に霧消したのか、そっちの方が理解できなかった。ハテナで頭が埋め尽くされそうになる。
しかし幸いなことに、その直近にして最大の疑問だけは、すぐに解決されることになった。
「なってねえな。斬撃を飛ばすってのはこうやるんだ……!」
モンスターには通じないはずの人語の挑発を飛ばしながら、一護は右足を一歩退き、同時に刀をテイクバックする。対して、ボスはそれに危機感を覚えたかのように構えを解き、体勢を低くして突進攻撃の体勢を取る。
しかし、ボスがそこから攻撃へと移行する前に、
「月牙……じゃねえや《残月》!!」
一護が刀を神速でフルスイング。
蒼い燐光を纏った刃から、青白い三日月状の光が放たれ――今まさに突進しようとしていたボスの下半身を消し飛ばした。
今度は攻撃の軌跡が見えた。着弾の瞬間もぎりぎりで見極めることができたものの、実際にデュエルで使われたらひとたまりもないだろう。明確には視認できなかったが、一護の台詞から今のがなんだったのか、ようやく分かった。
カタナ用遠距離攻撃スキル《残月》だ。
『限定解除』と同時期に習得していたのは本人から聞いて知っていた。だが、実物を見たのは初めてだった。ここに来る前、一護が「見て腰抜かすなよ」と大言壮語していたのにも、今なら納得できる。それだけ凄まじい技だった。
呆気にとられて言葉も出ないアスナとやっと納得した私の前に、ボスを討伐した一護が軽々とした足取りで着地した。半減したHPの回復のために、
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