Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 22. Stand on the Sky
[1/8]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
<Lina>
六十一層の迷宮区への道を塞ぐダンジョン『エアリア楼閣』。
その中で最初の浮遊フィールド『第一空中回廊』にて。
負傷したアスナとスイッチした一護は、小型フィールドボス『エルドアギラ』に空中戦を挑んでいた。
二十メートルはあろうかという高さまで空中を踏みしめて一気に駆け上がり、自身の後方に空気の足場を展開。無色透明なそれを蹴って突撃し、同じく一直線に向かってくるボスと交錯する――かと思ったが、そのニメートル程手前でさらに足場を作り、真上にジャンプ。身体を上下逆様にした無茶な体勢のまま、
「ドコ見てんだ、よ!!」
彼の姿を見失ったボス目掛けて、カタナ用単発重攻撃《尽月》を叩き込んだ。発生した強烈なノックバックにより、体長三メートル強のボスの筋肉質な身体が大きく歪む。
その隙を逃さず、宙返りした一護は勢いそのままに空中かかと落としを敢行。ゴズンッという鈍音が響き渡り、弱点部位を強撃されたボスはHPをごっそり減らしながら墜落した。
ボスが砂塵を巻き上げて地面に激突した場所と、私やアスナがいる地点の中間に一護は着地した。全快から減っていないHPやビシッと伸びた背中が、彼が未だに負荷の欠片も負っていないことを表していた。
と、立ちこめていた砂煙が晴れ、拳に紅色の光を宿したボスの姿が見えた。羽根を大きく広げて寝かせ、腰を沈めた体勢は、典型的な突進攻撃の予備動作。
「突っ込んでくるわ! 避けて!!」
アスナはそう叫びつつ、細剣を構えてその場から飛び退こうとした。距離があるとはいえ、空中戦に特化したこのボスの加速力は既存の飛行モンスターの比ではない。すぐに射線上から離れなければ。私も短剣を構えつつ、ボスの進路を見極めるべく集中する。
しかし、
「ふんっ!!」
一護の取った行動によって、その警戒心は無駄になった。
予想通りに放たれたボスの突進攻撃。拳を真正面に突き出して突撃してきたボスを、なんと一護は素手で受け止めた。
流石に突進の勢いは殺しきれず、そのまま私たちのすぐ手前まで押しやられてきた。けど、自分のそれより二回りは大きい拳に真正面から五指を突き立て、両足を踏ん張った体勢は崩されていない。なおも拳を押し込もうとするボスの金眼も驚きに見開かれているように見えるのは、私の錯覚だろうか。
なにより、
「う、嘘でしょ……ヒットポイントが、全く減ってない、なんて……」
アスナの言う通り、一護はノーダメージで防ぎ切っていた。
これはすなわち、フィールドボスの突進攻撃を相手に、速度を殺しつつ素の腕一本でのジャストガードを成功させてみせた、ということだ。やろうと考えたことすらないその絶技に、アスナだ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ