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ソードアート・オンライン -旋律の奏者-
アインクラッド編
74層攻略戦
久方振りの死闘を 04
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ぱり阻止が市場命題となる。

 雪丸で斬ろうとすれば大剣で削られ、距離を取ればブレス攻撃からの防御不可状態異常付与範囲攻撃(長すぎる)のコンボが待っている。 あまり逃げ続けていると軍の一団を守れないので、状況は限りなく逼迫していた。

 「こうなるとアマリのパワーが羨ましいよっと」

 言いつつグリームアイズに肉薄して跳び上がり、その鼻っ面を仄かな赤いライトエフェクトを纏った左手でぶん殴る。
 近距離専用に鍛えておいた体術スキル、『閃打』は左腕に装備したガントレットで威力を底上げしているはずなのに、グリームアイズのHPを数ドット削るだけで精一杯だ。 そもそも攻撃力の低い体術スキルの中でも初歩の初歩である閃打なので仕方がないとは言え、この非力さはいっそ笑えてくる。
 もっとも、ダメージは殆どないものの、どうやらそこは弱点らしい(弱点を攻撃してるのにダメージが数ドットって……)ので、狙い違わずブレス攻撃はキャンセルできた。

 飛び退きつつチラリと視線を送ると、軍の一団の避難は大体終わっていて、壁際まで運ばれていない連中もグリームアイズからは十分以上の距離を置いている。

 (うん。 これでなんとかなりそーーっ)

 瞬間、僕は己の失策を悟る。

 ブレス攻撃をキャンセルすると、グリームアイズには約3秒間の硬直が課せられていた。 その隙に腰のポーションで体力を回復したり、現状の確認をしたりと、今までは逼迫しながらも余裕はあった。
 だから僕は、油断してしまったのだ。

 いつの間にやら硬直から解放されたグリームアイズが、僕に向かって必殺の威力を孕む大剣を振るう。
 どうして? なんで? そんな疑問を置き去りにして、僕はその大剣と僕の身体との間に雪丸を滑り込ませた。

 直後、今までのSAO生活でもそう感じたことのない、酷く急激な加速度で僕の小柄な身体は宙を舞っていた。

 元々小柄な僕。 金属装備は左腕のガントレットのみ。 超が付くほど軽い雪丸。 頼りない筋力値。
 グリームアイズの攻撃を正面から凌げるわけがない、と言う僕の弱点を露呈させた。

 「うぐ……」

 それでもどうにか転倒を防ぎつつ着地した僕は、その最悪の状況に絶句してしまう。

 「き、貴様……」

 掠れた声は、僕の真後ろにいるコーバッツのものだろう。 他にも数人の声が聞こえる状況下で、グリームアイズがグッと上体を反らし、キラリと眼が光った。
 何度目になるかもわからないほど多用されたブレス攻撃のプレモーションにはなかった現象に眉を顰めつつ、僕は雪丸を回し始める。
 アマリたちは遠い位置にいるし、コーバッツたちは動けない。 僕は回避が可能だけど、それをすると間違いなく後ろにいるうちの誰かが死んでしまうだろう。

 そこまで
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