十話:休暇
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事?」
忙しくなりすぎてかつて否定した養父と同じ考えに至ってしまうはやて。
この話を後で冷静になった時に思い出して、しばらくショックを受けることになるのだがそれは今ではない。
フェイトに何を読んでいるのかと尋ねられて一枚の紙を投げ渡す。
慌ててそれをキャッチしたフェイトとなのはが題名を口に出して読む。
「『古代ベルカの融合機の構造についての研究』……融合機って」
「そや、ようやくこの子に新しい命をあげられそうなんや」
ここに来てやっと手を止めて剣十字を手に持つはやて。
この溢れんばかりの資料は全て融合機に関する論文なのだ。
それもただの一人がつい最近発表したと言われる最新の論文だ。
余りにも量が多いのは特に整理をしようとも思わなかったのが原因である。
「手詰まりやったところに、この論文や。嬉しゅうてなー、中々眠れんのや」
「そっか……それならしょうがないね。でも、一回寝ようか」
「待ってや、まだ半分しか読んでないんよ。このブンシュとかいう奴、やたら長々と書いとって要点が纏めてないんよ」
「ブンシュ?」
余りにも長い論文に流石に嫌気がさしていたのかブツブツと文句を言い始めるはやて。
その言葉になのはとフェイトが改めて論文に目を戻すと著者の名前が書いてあった。
『Wunsch』と短く、ベルカ語で書かれた名前。
「ブンシュ……日本語にしたら欲望だっけ?」
「ああ、そう言えばそうやね。まぁ、本名かどうかはよう分からんけど」
「でも、すごく為になることが書いてあるんでしょ?」
「まあなぁ、まるで実際に融合機で実験でもしたんかっていうぐらい正確な情報ばっかりや」
この論文は製作者のやる気が感じられるものではないが、情報自体は正確だ。
はやてが喉から手が出る程欲しかった情報のほぼ全てが載っているのだ。
もし、はやてがもう少し疑いをもっていればその不自然さについて考えたかもしれないがまだそこまで頭は回らない。
「とにかく、一気に読破してすぐに新しい魔導の器を―――」
テンションを上げるために大きく手を突き出して叫ぶはやて。
しかし、それが引き金になり絶妙なバランスで保たれていた資料がなだれ落ちていった。
為すすべなく紙の中に埋まり姿を消すはやて。
なのはとフェイトは一瞬固まったがすぐに救出に動き出す。
「はやてちゃん!」
「はやて! 大丈夫!?」
二人が呼びかけるが返事はない。思わず最悪の事態を想像し、顔を青ざめさせ紙の山を漁る。
すぐにはやての姿は見つかったが相変わらず反応がない。
救急車を呼ぶべきかと二人がオロオロする中、初めて反応が返ってきた。
「すー…すー……」
「……もしかして、寝てるだけ?」
「……う
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