Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 21. Good Bye, Black Cat
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っと得意げなのは……触れないでおいてやるか。
「……一護、やっとお出まし」
そう言って、リーナがマップを可視化して俺に見せてくる。見れば俺たちの後方から、二十人以上のプレイヤー集団が押し寄れてきていた。先頭をきる二つアイコンの名前は<Diabel>と<Kibaou>……余計なのがいやがる。来んなっつったろうが。
忌々しい名前を視界から追い出して、俺はケイタたちに向き直った。少しは回復したらしく、息も絶え絶えだったケイタも自分の足で立てている。
「……で? テメエらは何でこんなトコに出て来てんだよ。夜の散歩、なんてガラじゃねえだろ」
「え、えっと、それは……」
言いづらそうに視線を逸らすケイタ。他の面子も似たような表情をしている。なんか疚しいコトでもしてやがったのか、コイツら。
どうしたモンかと思ってると、ケイタの後ろにいたダッカーが思い切ったようにバッと顔をこっち、つーかリーナに向けた……何だ? 告白でもすんのか?
「お、お世話になったリーナさんに『ツキミシクラメンの蜜』をプレゼントするため、ですっ!!」
……似たようなモンだった。
つか、アレって確か、クソ甘いのと同時に眉唾モンの「媚薬効果がある」ってウワサのアイテムじゃねえか? アルゴが「ンな効果あるワケねーダロ」って一蹴してたのを覚えてる。それをリーナに押し付けるたァ……度胸付いたな、コイツ。
麻痺毒短剣を喉元一寸に突きつけられながらリーナに罵倒されて、なにやら嬉しそうな顔をするアホシーフに俺はため息を吐く。
……まあ、なんにせよ、無事に終わってよかった。
◆
<Sachi>
皆が迷宮区で危ない目に遭った日の翌日。
最前線のギミックエリアの踏破報告が出て、一護さんたちが私たちの引率役を退くことが正式に決まった。
皆すごく残念そうで、特にリーナさんに惹かれてたダッカーなんか、人目もはばからずに号泣してた。それを見るリーナさんは相変わらずの冷めた目だったけど、ちょっとだけ苦笑の色が見えたような気がした。言葉とか態度は冷たくても、本当は優しい人なんだろうな。きれいで強くて優しくて……ちょっぴり、憧れる。
その日の夕暮れから、私たちはSSTAの訓練所で「一護さん・リーナさんお別れ会」という名の大宴会が開催された。
主賓の一護さんとリーナさんのほかに、黒猫団のみんな、SSTAの指導員さんたちが加わって、すごい大騒ぎに発展した。一応料理は私が作ったんだけど、みんな美味しいって食べてくれている。リーナさんなんか、両手のお皿がいっぱいになるまで盛り付けて、黙々と食事を続けてる。ああまでしてくれると、作った甲斐があったなあって、少し嬉しくなる。
すっかり陽の落ちた訓練所
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