10.私はあなたが好きです
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う…なんか恥ずかしいデース……」
「おれだって……でも惚れた女の頭を撫でるなんて、そうそう出来ないからさ」
彼はそう言いながら、照れくさそうに笑った。その顔が、どことなくその時、私たちに頭を下げた時の、彼のあのカワイイ姿と重なり、私は胸が暖かくなった。こんなにカワイイ人を私は好きになったのか……こんなにカワイイ人に、私は好かれていたのかと思うと、私の心が満たされていくのを感じた。
彼は、先ほどの小箱を自身の手に取り、その蓋を開けた。中には指輪が入っていた。私がずっと、彼から貰いたかったものだ。そして、私と彼にとって、それ以上の意味が込められたものだ。
「金剛、これは戦闘能力の向上のためじゃない。カッコカリなんかじゃない」
「分かってマス」
「今後もおれのパートナーとして…残りの人生を、おれと共に歩んでほしい」
「ワタシで…いいんデスカ?」
「むしろおれが聞きたい。おれでいいかな?」
「ワタシも…ワタシも、テートクがいいデス……」
そう答えるのに精一杯だった。目に涙がたまった。これ以上は喉が痛くなって、声に出すことが出来なかった。口を開き声を出しただけで、子供のように大声で泣いてしまいそうだった。
彼は私の左手を取り、薬指にケッコン指輪をはめてくれた。これは艤装の一種だ。私の戦闘能力をさらに向上させてくれる、戦闘のための装備だ。だけど私たちには…私には、特別な意味を持つ契の証だ。彼が私を、私だけを愛してくれているという証だ。
もう我慢が出来なかった。私は彼の胸に飛び込み、彼の胸に自分の顔を押し付けて泣いた。彼はそんな私の頭を、いつものように優しく撫でた。
「テートク……テートクが好きデス!」
「うん。おれも金剛が好きだ」
「テートクのことが好きデス!!」
「うん。おれもだ。おれも金剛のことが好きだ」
「愛してマス…愛してますテートク!!」
「うん。おれも金剛を愛してる」
私は子供のように声を上げて泣きながら、何度も何度も彼に愛してると伝えた。今まで伝えられなかった分、堰を切ったように気持ちが溢れた。その度に彼も、私に愛していると言ってくれた。それが嬉しくて、その言葉を聞きたくて、また私は彼に愛してると伝えた。
改めて分かった。私は彼を愛していた。ずっとずっと愛していた。私自身が思っている以上に、私は彼を愛していた。その気持ちに気づく度、口に出して伝える度、そして彼の言葉を聞く度、彼を愛しているという気持ちが溢れ出てきた。改めて気付いた。私は彼を愛していたのだ。
彼の胸に耳を当てた。彼の心臓の音が聞こえた。彼の心臓の音を聞いたのははじめてだったが、少し早くなっているのが直感で分かった。その彼の音が愛おしくて、彼の胸から聞こえてくる彼の心の音が愛おしくて、何よりも愛お
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