10.私はあなたが好きです
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しくて、彼の音をもっと聞きたくて、私は彼の胸に顔をうずめ、彼の胸に耳を押し当てた。彼もまた、そんな私を受け入れ、抱きしめてくれた。抱きしめたまま、何度も私の耳元で愛していると言ってくれた。
「よかった〜…」
ひとしきり気持ちを確かめ合った後、彼がそうつぶやいた。彼の顔を見ると、彼は安堵の表情を浮かべながら涙を浮かべていた。
「? どうしたんデス?」
「ずっと“断られたら…”って不安に思ってた。金剛の気持ちには気付いてたけど、それがもしおれの勘違いだったらと思って…こいつを受け取ってくれて、安心したら涙出てきちゃった」
「oh……全然不安そうに見えなかったヨー? 自信満々に見えたネ」
「提督ですから。不安は見せないで自信満々に振る舞うのが仕事ですから」
涙を目にいっぱいためながらも、ちょっと意地悪そうな笑顔でそう答える彼は、いつもの彼だった。
私たちは再び窓の外を眺めた。気持ちを確かめ合うまでは開いていた私と彼との距離も、今はもうゼロだった。私たちは互いの距離を少しでも縮められるように、少しでも互いの感触を感じられるように、ぴったりと寄り添った。窓から見える鎮守府の光景が、さっきよりも美しく、愛おしく見えた。
「テートク…ここから見える景色、beautifulネー…」
「うん。キレイだ」
「月もキレイで、星もキレイねー……」
「そうだね。だけど、おれの故郷の星もキレイだよ?」
「? そうなんデスカー?」
「そうだよー。結婚するからには、いつか金剛に見せたいな」
「ワタシも見たいデス! ダーリンの生まれ故郷!!」
「ダーリンは恥ずかしいな…」
「ぇえ〜? 結婚はもう決まったんだから、テートクはダーリンデスヨー?」
「まぁいいか……でさ。夏になると花火大会もあってさ」
「その花火大会も見たいネー」
「時期的にはもうすぐだね。でさー…」
「いつか一緒に……」
私達はそのままパーティー会場には戻らず、ずっと二人で寄り添っていた。その日は私達にとって、特別な日になった。
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