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逆さの砂時計
Side Story
共に在る為に 2
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に驚いたか。
 でも

「あー……はいはい。好きにしたら?」
「……嫌じゃないのか?」

 くわぁあ〜……と、気が抜けるあくびをしながら上半身を起こし……

 ちょっと待て。
 何故、自分から脱ぐ。

「あ? お前から来ておいて、ナニ言ってんだ。別に良いんじゃないの? どうせ、明後日には名実備えた夫婦になってるんだし」

 そりゃ、どっちみち明日式を挙げた後には、こうなるけども。
 だからこそ、お前の真意を知りたくて、こうして……

「……避けられないからって、自暴自棄で言ってるんじゃないよな?」
「別に。お前なら良い」
「!」

 ()()()良い?
 ()()()、相手として不足は無いって意味か?

 それは……
 少なくとも、俺との結婚を無理して受け入れてるんじゃないんだな?

「俺に、お前をくれる?」
「だから、さっきから好きにしろって言っ」

 寝着を完全に取り払ったコーネリアを強く、強く抱きしめた。
 「苦しい! ちょっと離せバカ!」とか言ってるが、もう遅い。
 お前は俺を拒まなかった。
 この体はもう、俺の物だ。
 お前は俺を受け入れた。

 お前はもう、一人ぼっちじゃない。

「……なに、泣きそうな顔してんだよ。夜這い趣味の変態野郎」
「同意したんだから、夜這いじゃないだろ。立派な夫婦の営みってヤツだ」
「屁理窟」
「正論だろ」

 鼻先をくっつけて、しばらく無言で睨み合い……
 互いにくすくす笑ってから、唇を重ねた。
 初めて触れた女のそれは、柔らかくて温かくて、甘い。

「……愛してる」

 自然と溢れ落ちた言葉に驚いたのは……どうしてだろうな。俺自身だ。
 呼吸を奪われて苦しそうに頬を赤く染めたコーネリアは。
 返事こそしないが、無言で俺の頭を抱えて、何度も何度も髪を撫でる。
 もう一度正面から覗いた顔は、優しく微笑んでいて。

「愛してるよ」

 体を重ねることに、少しの迷いも無くなった。

 お前の全部を俺にくれ。
 寂しさも、苦しみも、体も心も、過去も今も未来も、何もかも。
 その代わり、俺の全部をお前にあげる。
 何一つ残さす余さず、俺のすべてはお前の物だ。

「愛してる」

 ベッドに体を沈めながら再度重ねた唇が、切ない吐息混じりに離れて



「知ってるよ。私のバカ男」

 パチッと開いた視界に、艶めいた愛しい女の微笑みが映る。

「とっとと起きて支度しろ。一宿一飯の恩義も果たせないロクデナシを夫に持った覚えはないぞ」

 ……そうか。
 俺達は、アルフとマリアを加えた四人で旅をしてて……
 これはまた、ずいぶん懐かしい夢を見たもんだ。

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