Side Story
共に在る為に 2
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かったんだ。
遊びに誘ってくれるトーマとクレイには悪いけど、俺は仕事をちゃんと遣り遂げたい。遊ぶのはその後でもできる。
まずは自分が生きる為に必要な事をしっかりしなきゃ。
あいつが俺の不始末で倒れたりしないように。あんな風に苦しまなくて済むように。
俺自身が、俺をしっかり支えなきゃ駄目なんだ。
「……本気か?」
形から入って習慣化して。
毎日の生活がすっかり変わったと自覚するには、五年なんて短か過ぎた。
あっという間に訪れた十三歳の誕生日……の、前日の深夜。
俺の手には包丁。
腕の中には、恐怖と驚愕で言葉を失ってる母さん。
目の前では父さんが茫然と立ち尽くしてる。
「冗談でこんなコトしないよ、父さん」
俺が作った緊迫の空気には苦笑いしか出て来ない。
父さんはガクリと肩を落として椅子に座った。
「村長にどう言えば良いんだ」
心底疲れ切った表情でため息を吐く。
うん、ごめん。
いきなり起こされて、こんな厄介な話を押し付けられて。
迷惑極まりないよね。
「こうして判りやすい理由を作っただろ? 俺はコーネリア以外の女とは結婚しない。コーネリアを他の男にやるくらいなら、今此処で家族全員殺して、コーネリアと一緒に俺も死ぬ」
仕事に対する姿勢を買われた俺は、三つ年上の女と結婚を予定してる。
相手は村長の孫。ゆくゆくは俺を村長にと進められたありがたい話だが、生憎俺はコーネリアしか要らないんだ。
だから仕事以外ではわざとだらしなく過ごして女達に嫌われ、評価を落とそうとしてたのに。
貞操観念激低な女好きの最低男に大事な職と孫を託そうとすんなよ、村長様。アンタ、軽率過ぎ。
「……コーネリアは同意してるのか」
「いいや? これは俺のワガママ」
なんとか回復したコーネリアは、病に臥せてる間の事……倒れた自分も、俺と交わした言葉も全部、綺麗さっぱり忘れてた。
当初は俺の後片付けが無くなったのを不思議に思ってたみたいだけど、それも五年の歳月が「当たり前」に変えてくれた。
仕事はしっかりしてても、男としては最低。
あいつにとっての俺はそんなもんだろう。
それはそれで構わないんだ。例え一生思い出さなくても、あの日約束した事実は変わらない。
「コーネリアは俺の物で、俺はコーネリアの物なんだよ。俺からあいつを奪らないで。死んじゃうからさ」
このままだとコーネリアも来年、同年の男と結婚する。
寝る部屋を分けてても感じるほど年々女らしく綺麗に育っていくあの体を、俺以外の男に委ねるって考えるだけで……ほら。可笑しいくらい全然何も怖くないんだ。
身内に刃を向けてるんだぞ? なのにちっとも震えないし、後悔とか何それって感じ。
駄目って言われたらきっと、
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