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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十二話 新人事
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ローン要塞攻防戦の悲劇の真実を知った二人の大将は思わず顔を見合わせた。エーレンベルクが口を挟んだ。
「今回の戦いはイゼルローン要塞と駐留艦隊のみで反乱軍に対応した。オーディンからの援軍は無かった。それ故騙しとおせると考えたらしい。5,000隻、いや3,000隻で良い、援軍を送っておけばこのような事には成らなかったかもしれぬ……。いや、済まぬ司令長官。卿を非難するつもりは無いのだ」
「判っている、エーレンベルク元帥。私とて同じことを何度か考えた」
「クライスト、ヴァルテンベルクの両大将はいかが成りますか?」
「知りたいかなゼークト大将。クライスト、ヴァルテンベルクの両名は軍事参議官に親補される。但し、軍の指揮を執ることは二度とないだろう。もう一度言う。両名とも協力しあって反乱軍に対処するのだ。クライスト、ヴァルテンベルクの二の舞にはなるな」
最後にシュタインホフ元帥が両大将に念を押した。
「大丈夫かな、あれは」
「駄目なら、また換えるしかあるまい」
「確かに司令長官の言うとおりだが、やはり一つにまとめたほうがよかったのではないかな」
「軍務尚書、なにをいまさら。それができるのならこんな苦労はせぬ」
「それもそうか」
「ところで、ヴァレンシュタイン中尉、いや大尉のことだがどうする」
「統帥本部長はよほどあの若者が気になるようだな、ふふふ、退職願を出してきた」
「退職願? で認めるのかな、軍務尚書は」
「たかが大尉一人に目くじら立てても仕方があるまい。本人の望み通りにさせてはどうかな」
「危険だ。あの男は全てを知っているのだ。むしろ始末したほうが良かろう」
「それはやめたほうが良かろう」
「何故だ」
「あの若者が、コンラート・ヴァレンシュタインの息子だという事は知っていよう」
「好都合ではないか。例の貴族どもに罪をかぶせればよい」
「そうは行かぬ。実際にヴァルデック男爵家、コルヴィッツ子爵家、ハイルマン子爵家が手を下したならばよい。がそうでなければ当然3家は無実を訴え、犯人は別にいると騒ぐであろうな」
「それがどうしたというのだ」
「今回の一件、何処で誰が知っているかわからぬ。大尉が事故死などすれば、当然われらにも疑いの目が向けられるだろうな」
「私も軍務尚書に同感だ。つまらぬことはせぬほうが良い」
「つまらぬ事とは……」
「たかが一大尉にこだわるべきではないと言っているのだ」
「……では、退職させると」
「さて……統帥本部長の危惧も判る。どうかな、このまま様子を見ては」
「退職願は却下すると」
「うむ。その上で前線に出してはどうかな」
「戦死させるのか」
「そうではない。彼が用兵家としてなかなかの才能を持っているのは事実だ。優秀な士官は前線で常に必要とされるのではな
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