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101番目の舶ィ語
第一章。千夜一夜物語
第一話。『対抗神話』
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偵憲章2条。依頼人との契約は絶対守れ。

俺は約束した。一之江を消させたりしないと。

「そうか。そうだったね。一之江。
もう、大丈夫だ。俺は諦めないから」

武偵憲章10条。諦めるな。武偵は決して諦めるな。

「そ、そうです、モンジさんっ! 諦めないで下さいっ! 私たちは、モンジさんだから、モンジさんの物語になりたいって思ったんです」

鳴央ちゃんも必死に叫んでくれた。
そんな彼女らの『想い』を聞いた以上。

諦められるかよー??

理亜と戦う決意は固まった。
だが。
次の瞬間。




『______こういう話があるんです。境山で発生した『神隠し』について。新聞に載っていたんだけど、あれは家に帰っても帰ってこない親に向けて、自分がいなくなったことを心配して欲しいと願った子が流した全くのウソで______実際、その女の子は______』



「や……やああああ??」


理亜の声が聞こえた途端、鳴央ちゃんは大きな声を上げて苦しみだした。

「な、なんだよ、その話は??」

全くのウソ。デタラメだ!
本当の『神隠し』は、鳴央ちゃんが音央を生き延びさせたいが為に、多くの罪を犯して頑張っていた話だったはずだ。
それなのに、理亜が語った夜話は全くのウソだった。
だが、ウソであっても、鳴央ちゃんは胸を抑えて苦しんでいる。

______『対抗神話』。
より多くの人が信じるであろう、都市伝説の解決方法。
理亜は、それを完璧に、完全に使いこなしている。

______噂を、コントロール出来るくらいに。


「止めろ! もう、止めてくれ!
この通りだ!」


俺はすぐに日本人伝統の謝罪方法。
土下座をした。
(フェンス)の上で苦しみ続ける一之江。
姿が消えかけてる音央。
悲鳴を上げる鳴央ちゃん。
彼女らがこれ以上苦しむ姿は見たくない。

「お願いだ、理亜っ! この三人を苦しめるのを、止めてくれ、頼む……!」

どこにいるのかは解らない。おそらく、スナオちゃんによって『攫われた』先の空間からその『夜話』を続ける理亜に声をかける。

理亜が止めるまで、俺は頭をアスファルトにガンガンと打ちつけた。
頭から血が流れたが、そんなことは気にならない。
アスファルトが削られ、周りに飛び散るが気にならなかった。
ただ、ただ愚直にもそうすることしか出来なかった。
だって。
俺は理亜に、可愛い女の子に手を上げたりなんてできないのだから。

『はふぅ』

理亜の困ったような、呆れたような溜息がどこからともなく聞こえる。

『______ご理解いただけましたか、兄さん。いかに『ロア』というものが曖昧で、儚く、些細なことで消滅の危険に陥って
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