第四部。変わる日常
プロローグ。『終わらない千夜一夜』
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秘密組織伊・U。そこに潜入する為に俺の兄……というか姉……やっぱり兄である遠山金一は世間的に『死に』。真実を知らなかった俺は無気力な状態になり、武偵高からの転入を考えるようになった。
「いや、確かにあれはそうだが。だけど、そんなことはもう……」
「ありそうでしょう?」
……一之江が傷ついた時。俺はかなりショックだった。
音央や鳴央、キリカやかなめ、リサ、そして……理亜がいなくなってしまったら。
強くいられる自信、本当にあるか?
「無理でしょう?」
「いや、だけどな!」
だけど、ここで抵抗しなかったら、それこそ全てを失ってしまう。
理亜だって、本当はそんなことはしたくないはずだ。
だから俺は抵抗する。
「だけどな、俺は理亜にだってそんな想いはさせたくないんだ!」
拳を握り締めて叫ぶと、理亜は一度目を丸くして驚き。
「いいでしょう、兄さん」
そう目を伏せて頷いてくれた。
「おっ、解ってくれたか」
俺は説得が出来たと内心喜んだが。
理亜が放った一言は、そんな喜びを一瞬で吹き飛ばした。
「それなら実力行使で行きます!
兄さん、私は貴方の物語を倒す『千の夜話』を持っています。ですから、降参して私の物語になってください」
「やわ?」
聞きなれない単語に、首を傾げながら尋ねると。俺のすぐ後ろで鳴央ちゃんがビクッと体を震わせた。
「そ、そんな……ロアを消すだなんて……そんなことが出来るロアが疾風さん以外にもいた、だなんて……」
「え、ちょっと、鳴央、どうしたの??」
ガクガクと震える鳴央ちゃんを、音央が戸惑いながら抱き締める。
一之江を見るとその?を汗が一つ流れていた。
俺は驚いた。
一之江がこんなにも緊張している姿は初めて見る。
其れ程までに恐ろしい、ということなのか?
理亜のロア『終わらない千夜一夜』という『主人公』は。
そんなにも格が違うのか?
俺と理亜は。
「あら、そっちのツインテールボイーンとおにいさんは知らないみたいねっ」
「何を、だ?」
「んー、つまり相性っていうヤツよ」
昨日、その相性のせいで一之江と引き分けたスナオは、まるで知った言葉をすぐに使いたがる子供みたいに、その大変慎ましいお胸様を張って告げた。
「兄さんは『対抗神話』という言葉をご存知ですか?」
「対抗神話?」
聞いたことあるような……キリカが確か教えてくれたな。
「ええと。確か『広がった噂』を沈静化させる為の噂だったかな」
「その通りよ! 例えばー、そうね。この街で流れている『隙間女』の場合を教えてあげるとね? その『対抗神話』はこんな感
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