第四部。変わる日常
プロローグ。『終わらない千夜一夜』
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ル》が違うのだ。
「マスター。メリーズドールはわたしがやっつけようか?」
と、そんな理亜を見つめていると彼女の隣に立つ少女。理亜の『物語』の一つである『夜霞のロッソ・パルデモントゥム』のスナオが強きな眼差しを一之江に向けていた。
『赤マント』のロアである彼女は一之江に強いライバル心を持っている。
前回、一之江とスナオが戦った時は『引き分け』だった。
一之江は『最強』と名高いロアらしいので、最強を目指しているスナオからすると越えたい壁、目標なのだろう。
だが、当の一之江はそんなスナオには目もくれず、今も視線を理亜に向けたままだ。
スナオよりも、理亜を警戒しているのだ。
臨戦態勢に入ればいつでも戦えるように。
一之江と理亜が戦う……そんな可能性がある。
それは避けたい可能性だ。
そもそも、今の一之江にマトモに戦える力はない。
『ロア』状態が解除されてるという理由ではなく、昨日の『赤マント』、『ターボロリババ』と連戦続きで体に傷があちらこちらにあるからだ。
疲れきっているはずなのに、背筋を伸ばして凛と佇む。
全く隙を見せる気はない。
そう、理亜に宣言するかのように、理亜の一挙一動を見逃さないようにしている。
一之江がただひたすらに注目しないといけないほど、理亜は『強い』ということだ。
「必要ありません、スナオさん。兄さんの物語たちは、全て私が倒しますので」
冷たい眼差しのまま、理亜は一之江、音央、鳴央ちゃんを見回した。
(おいおい、いくらなんでもそれは無理だろ??
一之江は最強と詠われるほどのロア『月隠のメリーズドール』だぞ。
それに、音央は『神隠しの妖精』、鳴央ちゃんはそのままの『神隠し』だ。
噂が広がっていたり、有名であればあるほどロアとしては強くなる。
そんなことは理亜もハーフロアになっているのなら知っているだろう……それなのに)
『全て倒す』だなんて。何で言いきれるんだ?
もし、それが______俺に対する怒りで我を忘れて、感情的になっている言葉だとしたら慌てて止めないといけないのだが。
……今の理亜を見る限り、落ち着いているように見える。
それこそ、単なる事実を口にしただけ、当たり前のことを告げているだけ、という感じだ。
「兄さん、兄さんみたいな心優しい人が、こんな世界でやっていくのは不可能です」
「そうか? けっこう上手くやれてるのだけどな」
「今だけです。いずれ仲間が傷ついたり、命を落としてしまったりした日には、兄さんはぜーったいに、立ち直れません」
「ぜーったいに、って。そんなことは……」
「前科あるよね? お兄ちゃん」
それまで黙っていたかなめが口を開く。
かなめが言う前科。
それは……兄さん。カナが『消えた日』のことだ。
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