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101番目の舶ィ語
第四部。変わる日常
プロローグ。『終わらない千夜一夜』
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在。

______本当の兄ではないけど。

______血が繋がっている従姉妹だけど。

それでも、一文字が大切にしていた大事な存在だ。
だから。

______俺は一文字ではないけど……


______ずっと、彼女を見てきたから。

だから、こそ。
理亜と戦うとか、危害を加えるなんて、絶対に出来ない。
一文字に代わり、理亜を守る。
それは俺が負うべき『義務』であり、『責任』だからだ。

「俺には絶対に、無理、だっ」

「兄さんには無理でも、私には出来ます」

あくまでも冷酷な言葉で、理亜は俺に語りかける。
今、目の前にいるのは本当に理亜なのか?
俺の知っている、一文字が大切にしてきた妹なのだろうか?
自問自答する俺に向かって一之江が。

「モンジ。しっかりしなさい」

鋭い言葉をかけてくれた。
その視線はあくまでも、理亜を見つめたままだ。

「貴方が呑まれてしまっては、私たちはどうすることも出来ないのですよ」

一之江が言う、私たち。
それはつまり、俺の物語になった彼女たちを指している、ということだ。俺がきちんと立ち向かう意識を待たなければ、一之江たちも立ち向かえない。俺が凹んでしまっていたら、彼女たちは動くことすら出来ないということだ。
そうだ。しっかりしろ! お前は今まで何をしてきたんだ、遠山金次。
皆んなを守れる『主人公』になると覚悟したじゃないか。
一緒に仲間と戦い、理不尽な物語を変えていく、という決めたばかりだろ?
それに、さっき戦った『氷澄』達とは和解できたじゃないか。
だったら。
それこそ、いつも一緒に過ごしていた理亜となら分かり合えるはずだ!
物語になる、戦う以外の選択肢があるはずだ!
そう思って、理亜に話しかけようとしたが。

「実力行使してしまった方が早いのでしょうか?」

だが、理亜はいかにも怜悧な表情で、淡々と語り、俺と、俺の物語である少女達を見つめた。
そこには、話し合いが全く通じない雰囲気を醸し出していた。
視線には、いつもの優しさや温かみは存在しない。俺の肝を冷やすレベルの、それこそ、死んだ(オルゴと呼ばれた)父さんやカナ……切れた兄さんが放つレベルの殺気を放っている。
まだ中学二年生なのに。
あまりにも、威厳がある大人びた態度。
これが『主人公』という分類でも、特に危険視されている______

「これが『終わらない(エンドレス・)千夜一夜(シェラザード)』ですか」

俺の隣で一之江が呟く。
その呟きで『終わらない(エンドレス・)千夜一夜(シェラザード)』がどんな物語だったかを思い出す。
そうだ。俺が『百物語』を集める主人公だとすれば、理亜は『千の物語』を語る存在。
物語としての|格《スケー
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