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dark of exorcist 〜穢れた聖職者〜
第32話「慈愛の天使」
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「アイ、さん………?」
正体不明の眠気を堪えながら、クリスは自身の髪を撫でるアイリスの手を握る。
「そん、な……なんで………アイさん……待って、くださ……」
このまま眠って目が覚めたら、アイリスがもう自分の目の前からいなくなっているかもしれない。
自分の嫌な想像が現実になってしまうような気がして怖かった。
このまま眠ってしまうことが怖い。
そんなクリスの心情を読み取ったのか、アイリスは握られた手とは反対の手をクリスの背中に回し、優しく
彼を抱きしめた。なだめるように背中を優しくさすりながら。
「大丈夫だよ。大丈夫……私はいつでも君の隣にいるから…今はゆっくり休んで……」
アイリスのこの言葉を聞いた直後、クリスは完全に意識を手放した。
深い眠りについたクリスを床に寝かせ、大鷲の方へ視線を向ける。
大鷲は既に虫の息だった。
怒りに支配された"フォールマン"の拳を何十回と喰らえば、無理もない。
クチバシはへし折れ、身体中の骨も滅茶苦茶に粉砕され、最早動くことすら出来ない。
刃をも通さなかった強靭な羽根も、赤黒い血とともに周囲に散らばっている。
眼球が揺れているため、視点が定まっていないように見える。
しかし、ただならぬ気配と仕留めたはずの獲物の匂いを感じたのか、後ろに下がろうとしている。
無論、グチャグチャに潰れた脚ではそれも叶わないが。
「ゲッ………グギギッ……」
ひどく掠れた呻き声をあげる大鷲。
まるで「来るな」と言わんばかりにアイリスを睨みつけている。
しかし、それもささやかな抵抗だった。
まともに動くこともできないまま、ただ彼女がそばに来るのを睨むことしか出来ない。
「大丈夫だよ。大丈夫。私はあなたに何もしないよ」
大鷲の目の前まで来たアイリスは、両手を大鷲の頭に近づけ……優しく抱きしめた。
「痛いよね…私のせいだね……ごめんね…本当にごめんなさい……でももう大丈夫。もう、苦しむ必要はないの。
このまま目を閉じて、ゆっくり休んでいいんだよ?」
アイリスの慈愛に満ちた囁きを聞いた大鷲に、変化が訪れた。
今まで敵意を剥き出しに睨みつけていた眼が、急激に穏やかになり、ゆっくりと眠るように瞼を閉じた。
その瞬間、あり得ないことが起きた。
大鷲の身体を、無数の小さな白い光が覆い始めたのだ。
白い光は、まるで蛍のように大鷲の周りを飛び回っている。
白い光は徐々にその数を増やし、大鷲とアイリスを包み込む。
あまりの眩しさに、シャルルは手で光を遮った。
決してこの光景を見逃すまいとしていたが、呆気なく視線を逸らしてしまった。
視線を逸らした数秒後、まばゆい光がその輝きを失い、ようやく直視で
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