第3章 リーザス陥落
第77話 ホッホ峡の決戦Y
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の命令で、声も発せず、兵士たちは自らの喉笛をかっきり、或いは貫いて地に伏した。
「(せん、のう……! ランのそれとは次元が違いすぎる。魔法抵抗力が低いと、近づいただけで……)」
志津香は、魔法使いであるが故に、常人よりも遥かに魔法抵抗力は高い。だからこそ、アイゼルの洗脳にはまだかかっていないが、相手が本気を出せばどうなるか、わからない。
――もしかしたら、大切な人を……自分の手で……。
「さて、お待たせしました」
「……………」
再び、アイゼルは志津香に正対する。対して、志津香は帽子の鍔を少し下げつつ、睨んだ。
「私は女性を嬲る気分でもありません。……逃げられるのでしたら、どうぞ。……使徒たちの所へはいかせませんがね? ……まぁ 遠回りをして、回り込んで行く、と言うのなら、それもありですが」
「………そんな時間はないわ。あんな魔法を撃ってくるのよ。それを、たった1人で止めてる。……アイツがやられたら、こっちは終わりなの。……全て、終わりなの」
「その通り、ですね。彼が倒れれば、戦車も終わる。……そして、その時 あなたや、あのランスと言う男が、どんな表情をするのか、興味はありますね」
きゅうっと 魔人の形の良い唇がつり上がった。
「醜く、堕ちてしまうのか……、或いは、その絶望の中でも、なお美しく輝くのか……」
「……下衆」
吐き捨てると同時に、志津香は魔力を集中させた。
「やるしかないでしょ。絶対に引けない。……引かない」
「ふむ。圧倒的な戦力差でも、絶対に、ですか。では 少しばかり運動をさせていただくとしましょうか。(……トパーズ、頼みましたよ?)」
アイゼルは、志津香の表情から、あの魔法を止め続けている事に対しての後遺症の類が現れている事には気づいた。だからこそ、撃ち続ける事で あの男が折れる可能性も出てくる。そして、あの正体も、掴めるかもしれない。魔物界へと連れ帰る事が出来たのなら、より詳しく調べる事も可能だ。……生きていようが、死んでいようが。
「絶対に、……させない」
志津香は、アイゼルの目から、何かを感じ取ったのか、手に込めた魔力を更に集中させる。
アイゼルは、その事に僅かながら、目を見開かせると。……直ぐに笑みへと変え 腰に下げていた剣を引き抜いたのだった。
一方、ランス達はと言うと、別ルートにてあの使徒達がいる高台へとたどり着いていた。
「がははは、ついたぞ。この上だな!」
もう、魔力の光は見られなくなったが、誰かの話し声がする事、そして かなみやシィル、メナドの目撃情報もあって、判ったのだ。
高台は、斜面
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