魔女の想い
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の時の私が黒麒麟を信じるというのなら……甘んじて結果を受け入れる。
じっと、彼女の黄金を見つめた。頬が自然と吊り上る。
瞳の中を覗き込めば、彼女の本心も僅かに透けて見える。
彼女はこれ以上、大切を失いたくないのだ。だから自分が死んでもあのバカを離さないようにするから任せろと、そう、言っている。
黒麒麟に戻らなくともいい。あのバカが……“秋斗”であればそれでいい、と。
しょうがない子。本当に。それもまた一つの、欲望か。
「抑えなさい、明。勝手な行動は許さないわ。理屈は分かるが私は許可しない。してあげない。
あいつが裏切る? 別に構わないわ。確かに腹立たしいことではあるけれど、飼い犬に手を噛まれたくらいで騒ぐなんてそれこそ器が知れるでしょう?」
彼女の目に殺意が乗る。それもまた心地いい。私と敵対してでも欲しい幸せだと感じているのなら重畳。
大丈夫よ……愛しい愛しい紅揚羽。あまり私を見縊るな。
片方の目だけ細めた。椅子に座りながら見下ろすと……彼女の身体が僅かに固まる。
可愛い子ね。この程度で怯むようじゃあ、あなたのワガママは聞けないわ。
代わりと言ってはなんだけど、面白い許可を出してあげましょう。
「ただ……裏切り者には制裁が必要なのは事実。でも私はあいつを殺さない。殺すなんて勿体ないこと出来やしない」
「……じゃあやっぱりダメじゃん。絶対秋兄は華琳様を殺しに来るよ」
「ふふ……慌てない慌てない。結論を急ぐクセ、直しなさいね? ちょっと近くまで来なさい?」
「むぅ……なにさ」
唇を尖らせた彼女に手招きを一つ。
彼女の髪に顔を近づければ甘い匂いがする。耳元に唇を宛がって、私は甘い甘い声音で囁いた。
欲しいんでしょう?
離したくないんでしょう?
でもあいつは裏切るってあなたは疑って仕方ないんでしょう?
それなら……自分の望む通りに……捻じ曲げてやればいいじゃない。
「張コウ、張儁乂……可愛い可愛い紅揚羽に教えてあげる。
黒麒麟は必ず私に頭を垂れさせる。裏切り離れた後、再び私の元に手に入れたその時は……“手も足も切り取って構わない”の」
彼女が僅かに震えていた。この程度であなたは恐怖しないはずでしょうに、紅揚羽。
「思い違いをしてるようだから言っておく。
私は、裏切り者を、絶対に、許さない。
あのバカが裏切るというのなら本人だけでなく、周りのモノを犠牲にしてでも、それら全ての人生を賭けさせ私に全てを捧げさせる。
他人に頼りたくないあいつを、他人に頼るしかない身体にしてやって……愛しいが故に甲斐甲斐しく世話を焼く雛里が側に居続ければ……どうなるのかしらね?」
想像しただけでも哀しい未来だ。それでもあいつが逆らうより
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