魔女の想い
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きるよりも此処で精一杯の人生を掴めって、夕と同じことを言うあの人が。
ひなりんとか、ゆえゆえとか、えーりんとか、朔にゃんとか……あの子達と同じなのかは分かんない。
でも欲しい。隣に欲しい。
それに、桂花も華琳様も春蘭も秋蘭も霞姐もふうりんもりんたんも季衣っちも流琉っちもひなりんもゆえゆえもえーりんも朔にゃんも麗羽も斗詩も猪々子も……皆が居ないと意味ないもん。
くだらないことで笑い合って、くだらないことで貶し合って、くだらない時間を繰り返して、それがあたしの欲しい幸せの一つなんだもん。
離れるなんてやだ。敵になるなんてやだ。殺し合うなんて……絶対やだ」
壊れた人形のようだったこの子がよくここまで直ったモノだ。
大切なモノ以外何も要らないと言っていたこの子が、仲間を失いたくないだなんて。
しかし何故、この子がこれほどまでに忌避しているのか。
「黒麒麟が裏切るのなら殺し合うしかない、あなたはそう思っているの?」
「……華琳様達は奪い返せると思ってるかもしれないけど……無理だよ」
「無理と決めつけるなんてあなたらしくないわね」
「違う。無理なの。絶対無理。あの人は、秋兄は……一回裏切ったらもう帰って来ない。今の秋兄の記憶が無くなるのなら帰って来れない。
捕まえても従えられない。理と利を説いても無駄。そんなモノで揺らぐ程度じゃ狂ったりなんかしない。あの人が信じてるのはあたしの時みたいな個人じゃなくて、“自分の中にだけ存在する、思い描いた平穏”なんだから」
何を、と言う前に明がくるりと回った。
トン……トン……と踵と踵を鳴らして間を保つ。
「……温いよ、華琳様。裏切った後のあの人が従ったように見えてもきっと、それは偽りでしかない。
華琳様が思い描いた平穏を作り上げたと思った矢先に、最悪の手札を切ってくる。曹操軍は覇王が居なければ成り立たないんだよ? 例えゆえゆえを妹として認めたって言っても、それこそ秋兄の最も得意な分野に引き摺り込まれてるって分かってるはず。自分が信じるあの人を信じてばかりいたら……死ぬよ?」
彼女のこんな目は久しぶりに見た。前髪の隙間から覗く彼女の昏い瞳が、異端への警告を伝えていた。
信じることは器の広さ。私はきっと……誰かが裏切った場合、それを受け入れる。
彼女は自分達がそれを策と為した前例がある。曹孟徳に唯一在る付け入る隙はその一点だと理解しているから……だからこそ、私にこんなことを警告しているのだ。
――私がこの目で裏切らないと判断したのなら、その責は全て私が背負うべき。命を散らすことになろうとも。
だが……しかしだ。
私はそれを曲げられない。彼女が言うように、黒麒麟に疑心を置き続けることなど出来ないししない。私は私を信じている。だから、そ
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