Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 18. The Advance of Black Cat
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短の間合いなら片手剣とも張り合えるし、最長ともなれば両手剣にも劣らない。順手、逆手の切り替えしさえ習得すれば、敏捷値補正と合わせてかなりの手数が期待できる。このオプションを使えば、両手棍のまま接近戦に十分耐えうる立ち回りが可能と私は判断し、皆にこの策を主張した。
結果、私の提案は即座に可決され、一護と共に行った三日間の「地獄の迷宮区籠り」によって四人のレベル上げをしつつケイタの棍の熟練度を上げ、どうにか《如意》を習得。以来、訓練所で一護を仮想敵に仕立てて模擬戦闘を繰り返していた。
「あ゛ームリ……もうムリっすよリーナさん。今日は、この辺で勘弁して……ガクッ」
「後衛のあなたに拒否権はない。さっさと立つ」
「お、おれも、もう限界かも……」
最も忍耐力のないダッカーが目の前で崩れ落ち、次いでササマルがダウンする。前衛が二人になったことで後衛との連携の機会が増え、戦闘をサボり気味だった二人もテキパキ動く必要が出て来ている。
今までは後衛が全員で前衛一人をサポートしていたが、現在は前衛二人が互いに連携しつつ、ササマルがテツオを、ダッカーがケイタを援護する形式をとっている。そのせいで出番が急増したために、スタミナがついて来てないみたいだ。
「ほら皆、まだ終わってないぞ! せっかく稽古を付けてもらってるんだ、気合入れて立て!!」
そう檄を飛ばすケイタも、疲労の色が濃い。後衛から前衛に転向を果たし、前述の二名とは比較にならないくらいに消耗度合が上がっているはずなのだが、リ−ダーとしての矜持故か、息は荒くとも戦意は失っていない。テツオもかなり疲れてはいるが、まだ十分に戦えそうに見える。
「ったく、だらしねえ連中だ。たかが一時間ぶっ通しで戦った程度で、へばってんじゃねーぞ」
大剣『ベルセルク』を担いで戻ってきた一護が、事もなげに言ってのける。筋力要求値ギリギリの大物を四人相手に振り回していたのに、そのしかめっ面には疲労の欠片もない。HPが減らなきゃ体力も減らねえだろ、とでも言うのだろうか、このバイタリティ魔神は。
一日通して戦闘を重ねてもビクともしない貴方と彼らを一緒にしないの、という相方へのツッコミを飲み込んで、私は周囲を見渡す。
空はすっかり夕暮れの色。西に沈む偽の陽の閃光が網膜を焼き、私の視界に点滅する残像を刻み込む。遠く東の空にうっすらと瞬く星が視認できるところを見ると、あと一時間もすれば、完全に日が沈んでしまうだろう。
自分で立てと言っておいてなんだけど、これ以上やるとただの模擬戦が夜戦の様相を呈することになりそうだ。わたしのお腹も空腹を訴え出したし、今日はこれでお終いにしよう。
そう考え、今日の訓練終了を通達すると、ダウン中の後衛二人組は命拾いしたとでも言うかのような安堵のため息をつ
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