暁 〜小説投稿サイト〜
Deathberry and Deathgame
Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 18. The Advance of Black Cat
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衛後衛のつり合いは取れていた。だが彼女が抜けたことで再び前衛が一人になり、スキル構成の不安定さという問題が再燃したのだ。
 当然、後衛の三人のうち誰を前衛職に転向させるかという議論になり、大多数の人は学習と状況判断の早いケイタを前衛職にすべきと主張した。後衛三人の中でテツオの援護に最も積極的で、責任感の強さも良い方向にはたらくと思われたからだ。

 しかし、ケイタには前衛に向かない決定的な短所があった。
 両手武器の取り回しの悪さをカバーするために、ステータスがかなり敏捷よりに構成されていたのだ。現状では両手武器の火力で不足を補えてはいるが、これを盾持ち片手剣に変えてしまうと筋力の不足がかなりの痛手になってしまう。シーフ型のダッカーもそれは同様で、消去法で残った筋力ビルドのササマルには――試しに盾と片手剣を持たせて初めて判明したことではあるが――盾役に最も向かない「猪武者」という欠点が存在した。

 誰を選んでも一長一短という状況で頭を抱えることになった一行だったが、一護がアルゴから買ってきた一つの情報が、この状況を打開する鍵となった。

 その情報によると、

「両手棍の熟練度を上げることで出現する《如意》というオプションにより、武器装備画面にて棍の全長を増減させることができる」

 というのだ。

 両手棍はその外見の地味さや、特筆すべき――一つの武器としてではなく、SAOに存在する装備としての補正数値的な意味合いで――メリットが存在しないせいで選択するプレイヤー数が少なく、スキル情報もあまり出回っていなかった。しかし、効率特化で装備にも偏りが見られる攻略組とは異なり、自身の個性を求めるために多様な武器を扱う傾向にあるSSTAの卒業生たちによって、各カテゴリのスキルツリーが拡大。その結果の一つが今回の情報だと私は考えている。

 この《如意》というオプションは、装備選択画面にて棍の長さをプラスマイナス六十センチ伸縮できるという驚異的なウェポンカスタムオプションである。下限であるマイナス六十センチを設定した場合、棍の全長は百二十センチ。まだ両手武器の間合いから完全には抜け切れていないが、しかし私はこれを利用してケイタを前衛職にすることを提案した。

 この世界の棍は通常クォータースタッフと呼ばれる全長六尺の棒であるが、現実世界には四尺、つまり百二十センチの棒である「杖」が存在する。病床に伏せるようになる前、武術マニアの祖母に教えを受けて育った私はその特性を知っているが、あれは接近戦にも十分に耐えうる性能を持っている。
 「突けば槍 払えば薙刀 持たば太刀――」と謳われるように、杖の最大のメリットは、その均一な作り、すなわち「全ての部位が刃にも柄にもなり得る」という点だ。上手く持ち手を調整すれば、その間合いは変幻自在。最
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