Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 18. The Advance of Black Cat
[1/6]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
<Lina>
繰り出されたメイスの一撃が大剣によって阻まれる。
火花が散り、重量差で負けたテツオの体勢が崩れた。ガラ空きになった腹目掛けて一護の蹴りが飛ぶけど、ギリギリで盾がすべり込んでガードが成功。さらに蹴りの衝撃を利用してテツオは距離を取った。そのまま盾を構えて防御姿勢を取り、相手の出方を伺っている。
それに構うことなく一護は距離を詰め、盾の上から強烈な斬りおろしを叩き込んだ。派手な金属音と共に両者が衝突。追い打ちをかけるように大剣が続けて二閃、三閃と振るわれる。鈍色の刃が叩き込まれる度に、テツオの身体がグラグラと揺らいだ。
何度目かの斬撃で、ついにテツオの防御が破れた。袈裟斬りの勢いに負けて明後日の方を向いた盾が戻ってくる前に、胴への一撃が決まる――直前、ケイタの棍が脇から急襲、一護の首を薙ぎ払おうと振るわれた。直撃の寸前で一護はしゃがんで一閃を回避し、剣を引き戻してケイタと斬り結んだ。
「ちぇっ。視界の外からだったら、当たると思ったのにな……!」
「ンなわけねえだろ。視界から消えても、音とか気配は消えねえ。攻撃を躱すなら、そんだけ分かりゃ十分だ。それと……」
鍔迫り合いから一転、一護はわざと剣を引いて相手の体勢を崩した。たたらを踏み、前のめりになったケイタの顔面目掛けて、
「剣と逆から襲えって、何度も言ってんだろうが!!」
「ガッ!?」
拳骨一発。横っ面を容赦なく殴りとばした。
肉を打つ鈍い音が響き渡り、ケイタの足元がぐらりと揺らぐ。現実なら歯の四、五本はへし折れてそうだけど、この世界で歯の部位欠損はない。だからグーパンでも剣打でも、安心して叩き込める。追い打ちのヤクザキックがケイタの下腹部に突き刺さり、援護しようとしていたササマルの足元に転がされた。
「二十四本目、一護の勝ち。二十五本目開始まで、あと――」
「まだだっ!」
私のコールが終わる前にケイタが跳ね起きた。落とした棍をつま先で跳ね上げてキャッチし、そのまま一護へと向かっていく。スイッチを繋げるためか、後ろにはダッカーが追尾している。
「今度こそっ……一撃、当てて見せる!!」
勇ましい声と共に振るわれたケイタの棍と一護の大剣が、轟音と共に激突した。
◆
あの後、サチは一護と共に戻ってきた。
黒猫団と共に行動していた私に一護から彼女を見つけたとメッセージが届いたのは、迷宮区で捜索を開始してからわずか十分後のこと。すぐに『はじまりの街』に引き返した私たちを出迎えたのは、いつものしかめっ面の一護と、申し訳なさそうに肩をすぼめるサチの姿だった。
無事の帰還に安堵する捜索隊の面々に一頻り詫びた後、サチは黒猫団と私を自室に招き、そこで自らの本心を告白した。戦いがイヤな
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ