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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十一話 伝書鳩
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に今回の件を話してもおそらくは自分の利益のために使うだけだろう。最悪の場合、元帥たちと取引して私を切り捨てるだろうね。そうなれば卿は辛い思いをする事になる。互いに最悪の結果だよ」
「大丈夫だよ、二人とも。心配を掛けたけど何とかなりそうだ」
気休めではない。希望が見えてきたのだ。
憲兵隊は軍務省、情報部は統帥本部に隷属している。上が仲が悪いのだ、当然下も仲が悪くなるのは止むを得ない。今回憲兵隊が動いていないのは、エーレンベルクは俺のことをあまり重視していないという事になる、何故か? エーレンベルクは今回の件はシュタインホフの失態だと思っているからだ。
戦闘詳報は統帥本部に集約される。統帥本部では戦闘詳報を分析し戦訓をだす。そしてそれらを軍務省に渡し軍務省が戦闘詳報、戦訓を公表する。宇宙艦隊司令部はその戦闘詳報、戦訓を詳細に調べ、次の戦いに生かすべく努力する。今回の場合戦闘詳報は二つあった。イゼルローンからの物と兵站統括部からの物だ。イゼルローンからの物が先に届き兵站統括部からの物は後から届いた。
本来ならシュタインホフは両方届くのを待って戦闘詳報の分析をするべきだったろう。しかしシュタインホフは俺の作成した戦闘詳報を待たずに戦訓を出し軍務省に渡してしまった。兵站統括部からの戦闘詳報などたいした事は無いと高をくくったのだ。
ところが兵站統括部から出た戦闘詳報はとんでもない内容だった。どうすべきか?統帥本部は大混乱になったろう。その内軍務省、宇宙艦隊司令部から戦闘詳報はどうなった、戦訓はどうなったという催促が飛んだに違いない。シュタインホフが正直に話したのか、それともエーレンベルクが業を煮やして兵站統括部から直接戦闘詳報を手に入れたか。
事実が判明した後、エーレンベルクとミュッケンベルガーはシュタインホフを責めたに違いない。最初からすべてがわかっていれば、イゼルローンに対して戦闘詳報の出しなおしを命じられたのだ。だが現実にはクライスト大将とヴァルテンベルク大将に都合の良い戦闘詳報と戦訓になっている。軍は両大将の言い分を認めた形になったのだ。
イゼルローンの兵たちは戦闘詳報、戦訓を読んでどう思うだろう。どれほど両大将が口止めしても、今回の戦闘詳報が虚偽に満ちたものだという事実は必ず漏れるに違いない。それが広まった時どうなるか?イゼルローン要塞のモチベーションはどん底にまで下落し、一つ間違えば反乱さえ起きかねない状況になる。シュタインホフは結果としてそれを助長した事になるだろう。
シュタインホフは俺を憎んでいるかもしれない。もちろん八つ当たりだとは判っているだろう。そしてエーレンベルクとミュッケンベルガーはシュタインホフの八つ当たりを許す事は無い。あの3人は本来、犬猿の仲なのだ。一致するのは共通の敵が出たときしかない
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