第14話 ノトスの森
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エルフの力が想像以上の物だったので、受けたダメージも相当な物であった。
「全く、君は無茶をするんだから…君はある意味、僕やゼロよりも特殊なレプリロイドなんだ。取り返しのつかないダメージを受けたら助からないかもしれないんだよ」
実際にルインがVAVAとの戦いで自爆特攻をしてから復活まで二百年も掛かっているのだ。
ルインのことを誰よりも知っていたケイン博士が存在しない現在ではもし大破した場合、彼女の復活は不可能になる。
「ごめん…でも、私…今のエルピスが許せなかったんだ。みんな…あんなに心配していたのに…」
「………」
「だから、いつの間にか口から出ちゃってた。」
「ルイン…お願いだから、もう無茶はしないでくれ…僕は二度も君を失いたくないんだ…」
VAVAとの戦いでルインを失ってからの二百年間、エックスは彼女の死顔を忘れたことはなかった。
「ご、ごめん…心配かけて…治療までして…くれ、て…?」
「ルイン?」
言葉が途中で途切れてしまったルインをエックスは不思議そうに見つめる。
ルインは自分を包み込む淡い光を見つめ、エックスを見遣る。
「エックス…この力…もしかして、サイバーエルフの力…?」
「そうだよ、僕は元々戦闘用レプリロイドだから治癒能力なんかないからね」
それを聞いたルインの顔色が真っ青になる。
「そ、それ…本当に大丈夫なの!?シエル達から聞いたんだけど、サイバーエルフは力を使うと…き、消えちゃうって…エックス…だ、大丈夫なの…?」
通常のサイバーエルフは力を使うと、その命を散らしてしまうことをシエル達から聞いていたルインはエックスに縋りつく。
「エックス、消えたりしないよね?いなくなったりなんか…しないよね…?」
目の前にいるエックスがいなくなることを想像して、今まで感じたことがない程の恐怖を覚えた。
エックスはルインを安心させるように抱き締めた。
「大丈夫…僕は消えないよ…やるべきことがあるから、絶対に…約束するよ。」
「うん…うん………エックス、ごめんね…」
「ん?」
「エックスがいなくなるんじゃないかって思ったら…凄く怖くて悲しくなった………自分は良くても残される方の気持ち…考えてなかった。私は昔、エックスとゼロにそんな気持ちにさせてしまったんだって……ごめん…ごめんね……」
「いいんだ。ルイン…もう、君が帰ってきて、ゼロもいる。それだけで僕は幸せだから。」
子供をあやすように、ルインの頭を撫でるエックス。
ルインはエックスの胸に顔を埋めながら静かに泣いた。
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