Side Story
共に在る為に
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、こんな夜中にどこへ行って」
「良いから! この薬草を、あいつにあげて! コーネリアを助けて!」
夜の林に飛び込んで、滋養に富む薬草を掻き集めた。
夜は危険な獣が多いとか、枝や葉っぱで体中に傷が付くとか。
そんなことはどうでもいい。
コーネリアが居ないとダメなんだ。
あいつが居ないと、俺は『当たり前』の日常に居られないんだ。
絶対、失くしたくない!
「コーネリアを助けて! 助けてよ!」
「ウェルス……」
父さんに頭を撫でられながら、疲れて眠るまで泣き叫び続けた。
俺はバカだ。
正真正銘のバカ野郎だ。
楽な仕事なんか、あるわけがないのに。
自分の仕事が一番面倒で辛いとか、そんな筈ないのに。
自分が手を抜いたら、抜いた分は自分以外の誰かがやるんだって。
どうして、そんな基本的なことも解らなかったんだ!
「ごめん……ごめんな、コーネリア……っ」
ちゃんとするから。
俺、これからはちゃんとするって、約束するから。
お願い、起きて。死なないで。
俺の傍から居なくならないで……っ!
「あなた! コーネリアが!」
朝。
母さんの悲鳴で飛び起きて部屋を覗けば、寝てた筈のあいつが居ない。
あんなに熱かった体を埋めてたベッドなのに、触ると冷たい。
どこへ……
「そうだ! 昨日、あいつが立ってた場所!」
「ウェルス!?」
家を飛び出し、村の入り口まで全力で走る。
ああ、やっぱり居た。
寝着姿のコーネリアは、湖を。
その向こうの世界を、村の外へ出るでもなく、ジッと見てる。
急激な運動と焦りで爆発寸前の心臓を抑えつつ近付いても、反応が無い。
俺に気付いてないのか?
……違う。
俺を見る気が無いんだ。
俺でも、俺の両親でもない何かを、こいつはずっと待ってる。
この場所で待ち続けてる。
昨日も、多分その前も、その前の前も。
ずっとここで……
「なにを待ってるんだ?」
感じたままの問いに、コーネリアは
「わたしのじかんを待ってるの」
やっぱり、俺を見ようともせずに答えた。
「わたしを作ったじかんを待ってるの」
「…………っ!」
耳が赤い。まだ熱が下がってないんだ。
なのに、家を出て。
こいつは多分、本当の家族を待ってる。
自分を置いて出ていった母親の帰りを、ここでずっと待ってたんだ。
「お前……」
俺の家で、俺と同じ部屋で、同じ時間を過ごしてるんだと思ってた。
けど、違った。
体を壊すくらい俺達に気を遣って、遠慮して、距離を置いて。
……一人……だったのか……?
一緒に育ったと思ってたお前
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