Side Story
共に在る為に
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見つけたんだってさ」
物のついでだ。
立ち上がって膝に付いた砂を払うコーネリアにも、誘いをかけてみる。
が。
「トーマ? ……誰?」
「え」
きょとんとした表情で俺達三人を見比べ、首を傾げたコーネリアは
「ごめん、やることがあるから」と言い残して、立ち去ってしまった。
「なんだアイツ。つまんねーの。行こうぜ、ウェルス」
「あ、ああ……」
村の外へと、トーマに腕を引っ張られながら、ちらりと振り返る。
コーネリアは、家に帰ったのかな?
あいつ、トーマの顔もクレイの顔も、本当に知らないって感じだった。
どうして? 俺達三人は毎日、家の中でも外でも会ってるのに。
確かに、コーネリアとは面と向かって話してなかったと思うけど。
俺と同じ村の、俺と同じ家で一緒に暮らしてるアイツが、俺のダチを全然知らないなんて、そんなバカな。
でも……
「ごちそうさまでした」
両手を合わせたコーネリアの言葉で、ハッと我に返る。
あれ? 俺、いつの間に帰ってきたんだ?
しかも、夕飯までしっかり食べ終わってるとか、なにこれ怖い。
「ウェルス、皿を貸して」
「ん? はい」
コーネリアが差し出す手に、空になった皿をひょいと乗せる。
一通り集めた食器を少ない水で洗い、丁寧に拭いてから棚へ戻す。
それが終わったら、今度は米を炊く下準備を始めた。
こうやって改めて観察してみると、結構忙しく動き回ってるんだな。
俺とも、両親とも、あんまり話してないし……
……って、え?
ちょっ
「コーネリア!?」
コーネリアがザルで米を掬ったと思ったら、いきなりバタッと倒れた。
慌てて駆け寄り、横向きに倒れた体を抱き起こす。
「…………え!?」
熱い。
なんだこれ!?
コーネリアの体が、めちゃくちゃ熱い!?
「どきなさい、ウェルス! アンタは触っちゃダメ!」
母さんがコーネリアを抱え上げ、一階にある両親の部屋へ運んでいく。
母さんの肩越しに少し見えたコーネリアの顔は、ありえないほど真っ赤に染まって、すごく苦しそうに歪んでた。
「父さん……あれ、何? あいつ、どうしたの!?」
「落ち着けウェルス。俺は医者を呼んでくる。お前はここを片付けるんだ。いいか? お前が慌てたって、何も解決しない。お前はやれることをやれ。分かったら動け!」
「父さん!」
玄関扉を開いた父さんは、月が光る夜の闇へ溶けて消えた。
母さんは、部屋に入ったまま出て来ない。
俺は……
そうだ。
俺が慌ててたって、どうしようもない。
物置から箒を持ち出して、床に散らかった米粒を集める。
お
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