暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
Side Story
共に在る為に
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
に速く済ませても四時間は掛かる。

 その間、女は水汲みやら朝食の支度やら掃除洗濯やらを担当してるけど。
 力を使うのなんて、水汲みくらいじゃん?
 楽そうで(うらや)ましいね。

「ウェルス。お前もあと五年で結婚するんだ。そろそろしっかりしないと、相手の女に逃げられるぞ」
「結婚、ねえ」

 俺達の村では、男女揃って十三歳の誕生日に結婚相手を決められる。
 俺とダチ二人には同い年の女子が一人もいないから、あぶれてる年上から選ばれるみたいだって、前々から聞いちゃいたけど。
 実感が全然湧かないんだよなー。
 いや、女の裸体には興味あるけどさ。
 それは鑑賞物っていうか、見るだけで良いっていうか。

「でも、キマリゴトじゃん? 逃げようがないでしょ」
「わかんないぜ。女ってのは、嫌がる時はとことん嫌がるからな。それこそ死に物狂いで村から逃げ出すかもよ」

 面倒くさいなあ。長い物に巻かれておけば楽なのに。
 どうして女って、無駄に偉ぶる上に、自己主張が激しいんだろ。
 ホント、意味不明。

「あー、ツマンナイ。」

 赤く熟れた実をうっかり潰さないように手で支え、軽い力でもぎ取る。
 それだけの作業を、区切りがつくまで延々とくり返した。



「ウェルス! 遊びに行こー!」
「うーい。今日は何すんだ?」
「湖の近くで面白いモンを見っけたんだ。ソコ行こうぜ!」

 家へ帰って朝食を済ませたら、次に待つのは材木集めと薪割りだ。
 俺とダチ二人は、それぞれ一定数を確保した所で、片付けもそこそこに早々と戦線離脱した。
 俺と二軒隣の家に住んでるトーマと、その隣の家に住んでるクレイとは、村に三人しかいない同い年の男同士、仲が良い。
 コイツらと遊ぶ時間は、他のなによりも楽しくて。
 宝探しみたいな周辺探索には、毎日わくわくしてる。

「こら、アンタ達! 遊ぶんなら仕事を終わらせてからにって、ちょっと、止まりなさい、クレイ! 危ない!」
「ぅわ!?」

 野菜てんこ盛りの(かご)を両腕で抱えてる近所のおばさんから逃げようとしたクレイが、前方に居たコーネリアの背中にドンッとぶつかった。
 体が軽いコーネリアはあっさり吹っ飛ばされ、顔面からすっ転ぶ。

 なんだ、コイツ? 朝食の時も家に居なかったのに。
 どうしてこんな村の入り口近くで、一人でボーッと突っ立って……
 じゃない!

「前を見て走れよ、クレイ! 危ないだろ! 大丈夫か、コーネリア」

 トーマとクレイを押し退けてコーネリアの前に回り込み、手を差し出す。
 鼻は少し赤くなってるが、怪我は無さそうだ。
 良かった。

「大丈夫。ありがとう、ウェルス」
「お前も来るか? トーマが湖の近くに面白い物を
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ