暁 〜小説投稿サイト〜
彼に似た星空
4.羊羹
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! さすがテートクネー!!」

 カチャカチャと心地よい音を立てながら、提督は手際よくお茶を淹れていく。ティーカップもそうなのだが、準備をしている時の食器同士がぶつかって鳴るカチャカチャという音は、誰が聞いても心地いいと答えるに違いない。

「なんつーか…まぁ、日本に馴染もうと努力してるのは良いことだ……いや待て元帝国海軍の軍艦なのになんだそりゃ?」

 そう言って提督は、ケラケラと笑いながら私専用の湯のみに淹れてくれたお茶を持ってきてくれた。相変わらず紅茶の方が好きな私だったけど、最近は、この緑茶の香りにもやっと慣れてきた。

 一方の提督だが、自分の席に自分の湯のみを置いた後、また席を離れた。

「? テートクは飲まないんデスか?」
「飲むよ〜。飲むんだけどね…今日はちょっとおまけがあって〜…」

 そう言いながら提督は、今度は何やら真っ黒な四角形の形をした物体が乗った皿を持ってきた。それらには爪楊枝がささっていた。

「テートクぅ? それ何デスか?」
「クックックッ…これは“羊羹”というものだ。緑茶とともに食べることによって無限の可能性を発揮する、至高の菓子だ」
「? ……Yo! Can?」
「羊羹!! いいから食ってみ食ってみ」
「じ、じゃあ…いただいてみるネ…ジーザス…」

 そう提督に促され、私はその黒い物体を恐る恐る食べてみることにした。こんな食欲を無くす真っ黒な物体…美味しいはずがない…そう思ったのだが…

「もぐもぐ…こ…これは…テートク…これはッ…?!」
「どうだ? どうだ金剛?」
「wow……delicious!! 美味しいネー!!」

 実際、この時の羊羹は本当に美味しかった。濃厚だが決してくどくない、絶妙なあんこの甘みがたまらなかった。

「だろだろ〜? そしてな金剛。羊羹を食ったら、緑茶を飲むんだ」

 提督に言われるままに、私は緑茶を飲んだ。まだ口の中に残っていたあんこの甘みと香りが緑茶の苦味と合わさり、至福の瞬間を私にもたらしてくれた。しかもその至福は、心地良い味と香りの余韻だけを残して、私の口からスッキリと消えていった。

「テートク!! …美味しいデス! 美味しいデース!!」
「だろ? 紅茶とスコーンもいいけど、緑茶と羊羹もいいだろ?」
「そうネー! 私、緑茶とYo! Can!も気に入ったヨー!!」
「羊羹だっつーに…」

 私が2つ目の羊羹に手を伸ばそうとした時、執務室のドアがノックされた。提督が入室を促し、それに従って入ってきたのは遠征に出ていた五月雨だった。

「提督! 金剛さん! 遠征からただいま戻りました!!」
「ほいお疲れさまー」
「五月雨、うぇるかむばーっく!!」
「わぁ〜お茶のいい香り…休憩してたんですか?」
「そうだよ
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