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第一章
極彩色の花達
小阪亮治は背はあまり高くはない。おおよそ一七三程度である。
茶色にした髪に黒く太い眉がよく映えている。顔は面長で頬が痩せている。目は横に長い一重で鼻が高い。その彼は学校ではサッカー部に所属している。
サッカー選手としての彼も学生としての彼も評判であった。ひょうきんなムードメーカーである。だがその彼には一つ変わった趣味があった。
「あれ、またかよ」
「また買うのかよ」
「ああ、またな」
花屋の前を通りその中にある花を見てだ。そのうえで一緒に下校する同じサッカー部員の面々に対して言うのである。
「ちょっと行って来る」
「またか」
「御前本当に好きだな」
友人達はそんな彼を見て首を少しだけ捻っていた。
「花好きだよな」
「しかもな」
彼等の言葉が続く。それに止まらないというのだ。
「その花がだ」
「どれも変わってるよな」
「それで今度は何を買うんだ?」
「一体どんな花なんだ?」
「あれな」
店の中を指差しての言葉だ。するとそこにあったのは。
赤と黄色の、しかもかなり変わった形の花だった。その花を指差して言ったのである。
「あれ買おうかって思ってるんだけれどな」
「あの花か」
「また派手だな」
「あんな花何処にあるんだ?」
皆その派手派手しい花を見ながら言う。
「どっかの南の島か?」
「よくあんな花があるな」
「そうだよな」
「あの花買うな」
だが亮治はこう言うのである。
「ここはな」
「それでも買うのか」
「あの花をか」
「ああ、買う」
実際にそうするというのである。
「じゃあ行って来るな」
「ああ、じゃあな」
「待ってるからな」
そんな話をしながら彼等は待つ。亮治は店の中に入り暫くして戻って来た。その手にはその派手派手しい花があった。
「こうして近くで見ると余計にな」
「ああ、派手だな」
「何か人間でも虫でも食いそうな感じだな」
「ウツボカズラだよな」
その花が何かも知っている亮治だった。
「それは持ってないけれどな」
「興味があるのは花だけか」
「花以外は買わないのか」
「嫌いじゃないけれどな」
それでもだというのである。
「それでもやっぱり買うのはな」
「花か」
「それなんだな」
「ああ。花だ」
また言う亮治だった。
「俺が買うのはやっぱりな。花だ」
「しかもそうした花ばかりだよな」
「派手な花ばかりだな」
「目がちかちかするみたいなな」
「こうした花見てると落ち着くんだよ」
これが亮治の言葉だった。
「それも周りを囲まれていたらな」
「余計にいいのか」
「じゃあ御前の部屋はやっぱり」
「そういう花でか」
「ああ、一杯にし
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