Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 16. Red Heath after Black Cat
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つーの、少なくとも見た目と精神衛生上はな」
そのまましばらくポツポツと雑談を交わしていると、ヘロヘロになったケイタたちを捨て置いて、リーナが一人で戻ってきた。
「よお、終わったか」
「ん、とりあえず一旦中止。そっちは?」
「俺らは終了。俺もコイツも、なんか気分がのらねーんだ。別に金も要らねえし、特訓はナシだ」
「私は要るの。貴方が要らないなら私に貢ぐために働いて」
「独裁者かテメーは。ンなことするぐれえなら自分で使うっつの……んで? なんで中断してきたんだよ」
そう問いかけると、リーナは目の前で指を振ってメッセージウィンドウを呼び出し、可視化して俺に見せてきた。差出人は、偶に遭遇する女剣士アスナだった。
「えーなになに……俺ら二人に用があるから、最前線の街まで来い? ギミックエリアの攻略には参加しねえって前に言っただろうが」
「だから、その他の用と考えるべき。例えば、この私にご飯を奢るとか」
「それはねえな、あのクソ真面目が俺らにメシ奢るなんて気が利いたことするわけねえだろ。賭けてもいい」
「それじゃ、五百コル賭けよ」
いやに自信満々のリーナに促され、俺はベンチから立ち上がる。手に持った瓶の中身はとっくに飲み干してたから、その辺に捨ててポリゴン片に分解する。ゴミが出ねえって、地味にいいシステムだな、コレ。現実でも実装してくんねーかな、とか思っちまう。
「んじゃ、そういうワケだ。ちょっと行ってくる。あそこで死んでるお仲間にも伝えといてくれ」
「う、うん、わかった」
サチがこくりと頷いたのを確認して、俺たちは最前線の28層主住区へと向かうべく、転移門広場へ向けて歩き出した。
◆
「急に呼び出してごめんなさい。お詫びってわけじゃないけど、ここのご飯私がオゴるから」
「……私の勝ち。五百コルいただき」
「……クソッたれ」
「え、な、なによ」
「気にすんな、なんでもねーよ」
「明らかになんでもある目付きなんですけど……」
訝しむような目で俺を見るアスナを無視して、俺はメニューからベスビオを大盛りでオーダーする。値段は八百コル。みみっちい計算だが、リーナへの掛け金を差っ引くと、三百コルの得だ。リーナの方の収益は二千コルに届きそうだけどな……クソッたれが。
集合場所からほど近いところにあるNPCイタリアンレストランの中、その隅の席に俺たちは陣取っていた。あと一人来るから、とだけ言い残して去っていくアスナを見送り、秒速で出てきたパスタを俺はやけ食いする。何でこう毎度毎度、俺はコイツとのかけ引きに負けてんだよ、スッゲー腹立つ。無性にカッカすんのは、きっとベスビオに入ってる唐辛子だけのせいじゃねえハズだ。隣で涼しい顔してサラダパスタの特盛を消化してる、某相方
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