Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 16. Red Heath after Black Cat
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、その先にあった俺のブラウンの目と視線がバチンと合う。が、すぐに向こうが逸らした。何だか怯えってよりは、上手いリアクションが分からないって感じの気まずそうな表情を浮かべている。あの人付き合いの悪い真っ黒片手剣士に、少し似た感じがした。
そんなサチの顔から俺も視線を逸らして、遠くでやってるリーナと黒猫団の男連中の斬り合いを眺めながら、手にした瓶の中身を一口呷った。
「……相手と剣を合わせると、相手の考えが少し分かる。心が読めるとか言うんじゃねえけど、どういう覚悟で剣を振ってんのか、俺を認めてんのか見下してんのか、そういうのも含めて。その相手ってのが強いほど、その思いが強いほど、剣から伝わってくる思いってのもデカいんだ」
「……なんか、詩人? みたいだね」
「うるせーよ」
これも初めてみる、サチの気弱そうな笑みを横目で見やりながら、そのまま言葉を続ける。
「オメーの剣からは、ただ嫌だ、って声しか聞こえてこなかった。たった四合しか剣を合わせてねえから、それ以上は分かんなかった。けど、たった四合でも、その気持ちの強さは分かった。だから、そっから先は勝手に想像した。そんだけだ」
「……そっか」
どこか安心したような、少し柔らかい声でサチは短く呟くと、そのまま自身の膝を抱き込んで、そのまま顔を伏せた。リーナと同じような格好をとってるくせに、そこに感じる空気はまるで別物。アイツのはただひたすらに落ち着いた安息みてえなものを感じるが、コイツの纏った雰囲気は迂闊に触れればそのままぶっ壊れちまいそうな脆さを感じさせた。目立った防具なしってのがそれを加速させてるんだろう。
午前中までの俺だったら「こえーなら防具で身を固めとけよ。そしたら死なねえから」と言えたんだが、剣を合わせた今だとそうはいかなくなった。多分、戦いに臨むための防具で身を固めたら、ずっと戦いの空気が身体に纏わりついてくる。嫌いな戦いがずっと自分の傍にあるなんて、コイツには耐えらんないんだろう。それくらい弱くて、戦闘嫌いなんだ。別に確証なんてなかったが、なんとなく、そう感じた。
そんな奴にリーナに言うようなノリで「スカートで体育座りなんかすんなよ」とは言えず、俺は視線を前に固定したまんまで、テキトーに間持たせの話題を切り出した。
「そのカッコ、ウチのリーナもよくやってんだけどよ、なんか意味でもあんのか?」
「ううん。別に大した意味なんてないよ。ただ、こうやって縮こまって視界を真っ暗にすると、何だが心が落ち着いてくような気がするの。それだけだよ」
「ズイブン根暗なクールダウンだな。もうちっと外っ面のいい方法はねえのかよ」
「キミなら、どうするの?」
「俺か? 俺は……昼寝するとか」
「ふふっ、私とあんまり変わんないよ」
「うるせ。昼寝の方が百倍マシだっ
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