Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 16. Red Heath after Black Cat
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だけじゃなくて、本当の『仲間』って感じがする」
「うん。けど、ただそれだけ。一ギルドとしては初級もいいところ」
ニンジンっぽい味がするのに色がドキツい紫の謎の野菜を咀嚼しながら、リーナは淡々と評価を下す。
「まずスキル構成がおかしい。両手遠距離武器持ち三人、短剣オンリーが一人、盾メイサーが一人。どう考えても前衛が回らない。そのメイサーも、盾をろくに使えないせいでHPがガンガン減ってく。複数相手や連戦なんて絶対にできたものじゃない。
それに、各個人の戦闘姿勢もなってない。特にあの長槍使い二人。正面の敵をスキルも使わず背後からちくちくするだけって、ダメージソースとしている意味あるの? 短剣使いにいたっては鍵開け以外ほとんど役立たずだし。リーダーの棍使いはメイサーを支援しようとしてるのはいいけど、前に出るのが中途半端なせいで、ヘイトが一時分散するだけで終わってる。そして全員動かなさすぎ。突っ立ってないでさっさと展開しろって何回言おうと思ったことか」
「言おうと思った、じゃねえだろ。フツーに指示飛ばしてただろうが」
こっちに来てからすっかり食い慣れた猪肉を噛み千切りながら指摘した俺を尻目に、リーナは食べ終わった弁当を脇に退け、自分のストレージから事前に買ってあったらしい菓子パンを取り出した。やっぱ弁当一個じゃ量的に満足はしなかったか。完食したってことは、味は及第点以上なんだろうが。
まあ、コイツの相変わらずの食い意地の張りっぷりはさておいて、連中の評価内容についちゃあ――リーナの酷評とも言えるキッツイ言い方はともかくとして――俺も同じ意見だ。前衛のテツオには戦線を一人で支え切れる程のタフネスはなく、それ以外の連中は敵が懐に入ってくるのがイヤで前に出られねえ。一角みてえに武器をガンガン振り回して距離を詰めさせないとか、もっと他にやりようがある気もするが、その辺りはディアベルの仕事だ。俺らの出番じゃねえ。
そう考えながら俺も弁当を食い終わった時、談笑の輪からケイタが抜けてこっちに向かってきた。
「一護さん、リーナさん。午前中はどうもありがとう。やっぱり、攻略組の力はすごいな。すごく頼もしいよ」
「気にすんな。こっちは仕事でやってるだけだ。立ってねえで、その辺に座れよ」
俺が促すと、ケイタは俺の向かいの瓦礫の上に腰を下ろした。ちなみに、俺らの名前にさん付けをしてんのは、コイツが「引率してもらう身として、敬語じゃなくてもせめて敬称くらいは付けないと」って言い出したからだ。他の面子もそれに賛同し、「やっぱり様付けで呼んだ方が……」とかほざくリーナを俺が抑えて結局こうなった。どいつもこいつも真面目ばっかだ。
「それで、その、ちょっと依頼というか、お願いしたい
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