Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 16. Red Heath after Black Cat
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んのもつまんねえってことで装備をクソ重い大剣『ベルセルク』に変えて戦力をデチューンしちまってるとはいえ、いくらなんでもそりゃねえだろ。
この剣は、俺がちょっと前から鍛練用に使ってるモンだ。両手用大剣であるコイツを振り回したところで、この世界じゃ筋肉なんて欠片も付きやしねえから筋トレ的な意味での鍛練にはならねえ。が、重い大剣を持った状態で攻撃の出ばなを速くしていけば俺が求める「攻撃の緩急で敵を仕留める」スタイルにより近づくことができるし、しかも打ちこみの瞬間に身体の重心をブレさせない練習にもなる。っつうことで、最近じゃあ格下相手に戦うときはもっぱらこの『ベルセルク』を振ってる。鉄塊のようなずっしりとした重さが手首にかかる感覚は、始解状態の斬月を振ってるときを思い出す。
「いやーしかし、一護さんってやっぱ強いな! 男として憧れるぜ!」
「世辞を吐く前にオメーは戦闘に参加しろ。その手に持った短剣は飾りなのかよ」
「へへっ、オレはいわゆる最終兵器ってヤツで――」
「そんなチャチな最終兵器なんて見たことない。世迷言ほざいてないで前衛とスイッチする技能を磨いて。鍵開けしか能のない人間なんて、存在価値は無に等しい」
「うぐっ、リーナさんけっこう辛口……」
黒猫団で一番ノリの軽い短剣使いのダッカーが、大袈裟にヘコんだようなポーズを取る。普通ならムードが和らぐんだろうが、生憎とリーナはこのテの人種が嫌いらしい。冷たい視線を一閃しただけでダッカーをシカトし、ケイタに向き直る。
「次は?」
「そう、だなあ……うん、もう十二時を過ぎたし、そろそろお昼にしようと思う。二人の分もお弁当用意してきたから、良かったらどうぞ」
「だれ製?」
「えっと、一応サチの手作りなんだけど――」
「食べる」
料理に関しては「プレイヤーメイド>NPC製」らしいリーナはケイタの言葉を遮って即答した。つーか、タダでもらえる食い物に対して、コイツが受け取らないって反応を返すことは既製品の保存食でもない限り滅多にねえ。これで出てきたのが黒パンに水、とかだったら、多分コイツのアイコンがオレンジになっちまうだろうが。
ダンジョン内の安全エリアに移動した俺たちは、手ごろな芝生の上に腰を落ち着けた。配られた弁当を礼を言って受け取り、その辺に転がってた石柱っぽいなんかの上に座る。とうの昔に一人でいただきますをしてたらしいリーナが弁当片手に寄ってきて、俺の隣に腰掛けた。車座になって和やかに昼食を摂る黒猫団を見ながら、俺はリーナに問いかけた。
「アイツら、どう思う」
「ギルド内の雰囲気はいい。強くなることしか考えてない最前線のプレイヤーたちにはない、結束力みないたものがある。とてもいいこと」
「だな。なんつーか、攻略のためのチームって
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