アインクラッド編
74層攻略戦
久方振りの死闘を 01
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キルを持っているアスナさんと僕、それから料理スキルを持ってはいないけどとある事情でお弁当を持参しているキリトがそれぞれのストレージから昼食を取り出した。
「あれ? キリト君、お昼ご飯買ってあったの?」
「いや、買ったって言うわけじゃなくてだなーー「愛妻弁当だよね、キリトのは」
しどろもどろに誤魔化そうとするキリトを先回りして、僕が答えを提示する。
どんな理由があろうとも、誰かが作ってくれた食事を誤魔化そうなんて、あまりにもアンフェアだ。 それはキリトのために食事を作るあの人に対して失礼すぎるだろう。
僕が示した回答の意味をたっぷり5秒かけて理解したアスナさんは、やや掠れた声で呟いた。
「え……あ、愛妻弁当?」
「ち、違うぞ! 愛妻じゃない。 ただ、その……付き合ってる女の子がいるから……」
「あはー、熱々ですねー。 おにーさん、彼女さんがいたですかー」
「いやまあ、その、一応な」
「一応? それは初耳だね」
「一応じゃありませんでした! 全力で付き合ってます!」
半ばヤケクソ気味に言ったキリトの告白に驚いたのはアマリだけ。 僕は元々知っていたので驚かないし、アスナさんに至っては驚くを通り越して呆然としている。
そう。 何を隠そうキリトには彼女がいるのだ。 その付き合いは1年半ほど前からになる。
もっとも、あの人は戦闘職でない上に目立つのが嫌い(これはキリトもそうだけど)なため、知っている人は数少ない。 と言うか、基本的にソロプレイのキリトが実は誰かと付き合っているだなんて誰も思わないだろう。
「良いよねキリトはさ。 愛妻弁当を食べられて」
「……お前も作って貰えば良いだろ」
「残念だけど、アマリは料理スキル持ってないから」
「あはー、私は食べる専門なのです」
緩く笑ったアマリは僕が取り出したお弁当を受け取ると、そのまま楽しそうに蓋を開ける。 それに触発されたのか、キリトが続いて、その後に呆然としたままのアスナさんも小さなバスケットを開けた。
キリトの愛妻弁当の中身は彩り鮮やかでありながら、キリトの大好物である肉類が中心。 僕とアマリのお弁当はシーフードグラタン(っぽい何か)と簡単なサラダとパン。 アスナさんのは肉や野菜を挟んだ綺麗なサンドイッチ。
「へえ、アスナさんのそれ、美味しそうだね」
「え、あ、ありがとうございます」
「ちょっと分けてくれない?」
「それは構いませんが……」
「ホントに? よかったー。 ほら、自分で料理してると、たまに人が作った料理を食べてみたくなるんだよね」
「少し分かります。 えっと、じゃあどうぞ。 作りすぎてしまったのでちょうど良いです」
言ってバスケットを差し出してくれたので、遠慮し
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