Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 14. The dianthus and the deathberry
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
教わった、戦うためのコツ。
分かっていたつもりだった。戦うために必要な、揺らぐことのない『覚悟』。鉄より強い、堅固な意志。
まさか、リーナにあの人と同じようなことを言われるとは、思わなかった。
「……チェッ。わかったような口ききやがって……」
形ばかりの悪態を吐きながら、俺は刀を持ち上げる。刀身に映る俺の顔は、この上なく不機嫌そうで、けれど確かに揺らいだ、みっともないモンだった。自分で見てても笑けてきちまう。いつまで経っても変わらない、魂の底の、俺の無力。本当に、どうしようもねえ甘ったれだ、俺は。
だから、
「……セイッ!!」
俺は自分の頭を、刀の柄で思いっきりシバいた。ゴンッという鈍い音と強い衝撃が脳をブチ抜き、眩暈で倒れそうになるのを何とか堪える。
何とか踏みとどまり、一息吐いて、もう一度刀身に自分を映す。
そこにいたのは、しかめっ面をした、目つきの悪い俺。飽きる程に見てきた、いつもの『黒崎一護』だ。
多分、俺は今まで、心のどっかで不貞腐れていたんだ。この世界に入って、死神の力が使えなくなって、その理不尽な喪失に、無意識にしがみ付いてきた。
それなのに、目の前に死神や虚が現れて、記憶通りの力を振るって来て、なんで俺にはその力がねえんだって、心の底で思っちまったんだ。でも俺は、そのみみっちい未練を茅場への怒りにすり替えちまった。自分の底をまるで見ようとしなかった。その結果がこの様だ。情けねえ。本当に、情けねえ。
けど、今はもうそんなことには拘らない。斬月がなくたって、死覇装が着れなくたって、俺の魂はいつだって「死神」なんだ。今はそれで、それだけで十分じゃねえか。
もう動揺はない。刀を鋭く一閃し、足に意識をこめてしっかりと踏ん張る。
「……おし、行くか」
「うん」
「……リーナ」
「うん?」
「さんきゅ」
「……うん」
短いやりとりの後、リーナは俺の前から退き、右横に立った。気のせいかもしれないが、その足取りは随分と軽い。
と、それと反対側、俺の左にも人影が立った。真っ白なリーナと対照的な真っ黒い影。
「それじゃ、俺も行くかな」
「キリト」
「ま、俺も腑抜けた面してたし、ここは自分への罰として特攻に志願するよ」
「……そうかよ。んじゃ、せいぜい玉砕しねえようにするこった」
「当たり前だ。なにせ、俺とお前には『死神』の加護があるんだからな」
「……へっ、それもそうか」
顔を見合わせ、ニッと笑う。同時に、あいつののほほんとした笑顔が脳裏をよぎる。
「俺も参加するぜ。あのデカイ奴のドロップアイテムで、一儲けする野望があるからな」
さらにその隣に、斧を担いだ黒い巨漢が並び立つ。
「オレも行こう!!」
「俺もだ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ