Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 14. The dianthus and the deathberry
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かして、隊長の誰か、あるいは浦原さんがこのゲームに干渉したってのか?
そうとしか考えられねえ。だって、そうでなきゃあんな――あんな、俺の頭から抜き出したみたいに忠実に再現できるハズが――そこまで考えて、俺はある一つの結論に辿り着いた。
まさかコイツは……いや、このボスに纏わる全てのクエストは……、
俺の記憶を基にして作成されてるのか。
そう考えると、全ての謎が説明できる。死神の存在も、斬魄刀も、虚も、みんな俺の頭の中から生まれたんじゃないか。
前に『プレイヤーのメインスキルに合わせてクエストが生成されたのでは』とリーナは言ったが、『プレイヤーの記憶の中から使えそうなエピソードを引き抜く』ことだってできるんじゃないか。プレイヤー自身が体験した恐怖、不安、絶望。そういうものの中から使えそうな記憶を抽出し、ゲームのイベントに反映することが。
果たしてナーヴギアにそれが可能なのか、それは今この場では調べようもない。ただ、このクエストに関する全ての情報が、最初に東部の最上層に到達したプレイヤー、すなわち俺とリーナのうち、俺の記憶から引き抜かれたと判断するのが、一番の正解のように思われた。
――つまり、この状況は、俺の恐怖が基になって生まれたんだ。
見れば、アヨンの上に表示されたHPバーが回復している。全回復ではないが、レッドゾーンまで削れていたはずのHPの二段目までは埋まってしまった。そして、さっきまでの大虚が俺の記憶通りの動きをしていた以上、コイツも俺の記憶にある通りに暴れ狂うだろう。見境なく、ただ殺すために。
どんな動きをしてくるか分からず、みんなは固まったまま動かない。中には微かに震えている奴もいる。そりゃあそうだ。鈍い幽霊があんな怪物に変化すりゃあ、誰だってビビる。それを引き起こしたのは、多分俺の記憶。
そして、その諸悪の根源は――
「――フザけんじゃねえ」
「……一護?」
リーナの訝しむような声。俺はそれには答えず、刀を構える。
「人を大勢閉じ込めるわ、勝手に死んだら終わりにするわ、挙句人の頭ん中勝手に漁るわ……クソヤローだな、茅場は……!!」
赦さねえ、絶対に赦さねえ。怒りが脳内を席巻する。頭に仮想の血が上り、視界がグラグラと煮えたぎる。この世界を作った男に、そして目の前で模られていく異形に、俺は凄まじいまでの殺意を覚えていた。無限に湧いてくるんじゃねえかってくらいに強い激情は、たとえこの刀で腕を斬り裂き、足を千切って落とし、首を刎ねても治まりっこない。ポリゴンの欠片の一つすら残さず、塵になるまでぶった斬ってやる……!!
その衝動に身を任せ、刀を握り締めて突貫しようと
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