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Deathberry and Deathgame
Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 13. The Wraith
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討伐に参加するよりも急を要するような案件があるとは思えない」
「そ、そんなことないわよ。今受けてるクエストのキリが悪いから、今回は申し訳ないけど不参加にしたの」
「どんなクエスト?」
「そ、それは、えっと……」
「また食糧素材系とかじゃねえの? オメーあれから料理スキル上げまくってんだろ」
「そ、そう! それよ! 下の層で良さそうな素材調達クエストがあって、それの納期が近いの! だから、最前線に行く余裕がないのよ!」

 顔に「ナイスフォロー!」と書かれたアスナが、生き返ったように自己弁護しだした。どう考えても怪しいんだが、面白いんでこのまま放置してみる。こういう時でも、リーナの弁舌は容赦ねえからな。

「へえ、成程。素材調達クエストか……」
「そうよ、納得したでしょ? はい、この話題終りょ――」
「素材調達クエストなら、一時中断が許されるはず。アイテムの個数が嵩む場合の多い素材調達クエストには、納品量を二割増しにすることでクエストの時間経過を停止、納期を延長できるオプションが設定されている。下の階層なら安全マージンも十分に取れるし、多少個数が増えたところで負荷は大きくない。今回のボス討伐で得られる利益を考えれば、間違いなく収支はプラスになると思うけど」
「………………」

 コイツ、自爆しやがった。

 「謀ったな!」とでも言いたげな表情でアスナがこっちを見てくる。いやワザとじゃねえし、オメーが勝手に俺の発言に乗っかっただけだろ。逆恨みしてんじゃねえよ。

「と、とにかく! 今回のボス攻略に私は参加しません! じゃあね! あと一護、今度会ったら覚えてなさい!」
「濡れ衣着せんじゃねえよ、自分の嘘がバレたからって俺を恨むなボケ」
「うるさいっ!!」

 オメーの声の方がうるせえよ。

 捨て台詞を残して脱兎の如く逃走を始めたアスナを、俺とリーナは呑気に見送った。

「なんだありゃ、嘘吐いてまでボス戦サボりてぇのかアイツは。……にしても、素材調達クエストにそんな設定あったんだな。俺も知らなかった」
「嘘」
「は?」
「あれ、全部ウソ。さっき私が即興で考えた」
「……オメー、詐欺師の才能あるんじゃねえか?」
「やめて、照れる」
「褒めてねえよ」

 気の抜ける会話をしながら、俺たちは宿を目指して再び歩き始めた。



 ◆



 翌日、午前十二時十分。

 ボス部屋の入口のある小部屋に、俺たちは無事に到達していた。
 あのクエストが完了してからは、マップ上にボス部屋の位置がちゃんと載っかるようになっていた。ランダムで位置が変わるせいで探すのに手間がかかりそうだと思っていたが、その心配は杞憂に終わったみたいだ。

 各々が最後の装備確認をする中、最初のミドルを受け持つこ
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