Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 13. The Wraith
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、各自が会議室からの退出を始める。キリトも俺たちにひらりと手を振って、さっさと出て行った。俺と食器を片づけたリーナもそれに倣って帰ろうとしたが、
「一護君、リーナさん、ちょっといいかな」
一人残っていたディアベルに呼び止められた。手にはさっきまでメモ書きに使っていた羊皮紙がある。
「よお、なんか用か」
「今回の小隊編成だけど、オレが把握している範囲では、おそらくキミたちのところが最も高レベルだ。よって、非公式にではあるが、有事の際にはオレと共に殿を努めてもらいたい。危険を承知の上での頼みだが、もしそうなった場合、手当は出すから。どうだろう、引き受けてくれないかな」
「なんだ、そんなことかよ。いいぜ、そんくらい。いっそそのまま俺等だけでぶっ倒してやる」
「同意」
「はは、ありがとう。それじゃあ、宜しく頼むよ。頼りにしてる」
爽やかな笑顔を浮かべたディアベルと握手を交わし、俺たちもチャペルから外に出た。まだ昼飯にするには早く、かつ迷宮区攻略・午前の部(残り一割もない未踏破区域のマッピング)に参加するには遅いという微妙な時間帯で、人通りは比較的落ち着いている。
冬特有の濃い青空の下を、いつの間にか露店で買ってきたらしいワッフルを咥えたリーナと並んで宿へと向かう。明日の決戦に備えて英気を養うってコトで、今日はオフにしてある。だからって別になんか特別なことをするわけでもねえけど。
「で、どうすんだよ、この後」
「アイテムのストックはしてある。新しい手甲の慣らしも問題ない。よって、するべきことは只一つ――寝る」
「……オメー、ホント食うか寝るかしかしねーのな。リアルだったら確実に牛か豚にな――アブねっ!?」
音もなく繰り出された短剣による鋭い一撃を躱す。れでぃを家畜呼ばわりするな、と目で抗議してくるリーナに、ツッコみに剣を使うんじゃねえよと言ってやろうとした時、視界に見知った奴の姿が映った。俺がそいつに視線を合わせると、向こうもこっちに気づいたみたいだ。
「よおアスナ、クリアに御執心のオメーがボス攻略をバックれるなんざ、ずいぶんと珍しいじゃねえか」
相対するなり俺は女剣士にそう吹っ掛けた。コイツとは別に不仲ってワケじゃないんだが、クソ真面目なとこが石田と被るせいか会うたび会うたびに憎まれ口の応酬をやってる気がする。
今回もそんな毎度のお決まり、みたいな感じで言ったんだが、
「へっ!? べ、別にバックれたわけじゃないわ。ただ、ちょっと急用が合って……」
何故か酷く動揺した様子を見せるアスナに、俺より先にリーナが反応した。ちなみにコイツはアスナとは比較的仲が良い。食い物にこだわりがある奴同士、気が合うんだろうか。
「急用? ボス最速攻略に命を賭ける貴女に、
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