Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 13. The Wraith
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染みたくもないヤツ、キバオウがいる。奴は俺をチラリと見ると、ヘンッ、とそっぽを向いた。実にイラッとくる反応だ。思わず舌打ちが出る。
その様子を見たキリトは苦笑し、リーナは我関せずとばかりに茶と菓子を摘む。ちなみに差し入れなんて上等な代物じゃなく、コイツが自前で持ちこんで、勝手に飲み食いしてるだけのモンだ。アイテムやら武装やらは、自分より俺に有用であると判断すれば何の躊躇いもなく放り投げてくるくせに、こと飲食物に関しては、他の面子はもちろん相方の俺にすら、ビスケットの一欠片も寄越すつもりはないみてえだ。
そんな食欲の権化のことはさておき、俺は一層の時からの顔なじみであるリーダー兼指揮官へと視線を向けた。
この『指揮官』って言葉は、大きく二つの意味を持つ。一つはディアベルが戦闘中の指揮管理を担うこと、そしてもう一つは、ディアベル自身が戦闘行動に積極的には参加しないってことだ。
本人曰く、
「オレ個人の戦闘技術はキミたちに比べて劣っている。しゃしゃり出て自滅するよりは、後方で指揮を執っていたほうが皆に貢献できるし、性根的も合っているからな」
ってことだった。一層の時のアレを反省してるのはわかるんだが、そんなに卑下したモンでもねえとも思う。けど、実際ディアベルが完全に指揮に特化することでより連携指示のクオリディが上がり、短時間かつ低損害でボスが討伐ができるようになってったから、特に「オメーも戦えやボケ」という意見は出てないそうだ。
「さて、まず最初に、ここ数日の偵察活動で分かったボスの情報をまとめよう。
今回のフロアボスは単体で出現する。名前は『The Deadsoul』といい、体長約十メートルの人型モンスターだ。武器は持たないが、厄介な特殊能力が付いている。
口を大きく開けるという予備動作を取った場合、口腔内から紅いレーザーを撃ち出してくる。射出速度が速く、また射程がボス部屋を縦断できるくらいに長いため、スイッチ後の小隊にも被弾の可能性がある。威力も馬鹿にできない程度に高い以上、何発も撃たれると戦線の維持が困難になるな。幸い予備動作完了には発生から二秒弱かかるので、そこを見極めることが回避の鍵になるだろう」
そこで、とディアベルはペンを取り出し、羊皮紙にさらさらと書き込みを始めた。俺を始め、円卓に着いていた連中が一斉にそれを覗き込む。
「今回の作戦では、全体をA・B・Cの三小隊に分け、それぞれが前・中・後を順繰りにローテーションする戦法を取る。
フォワードの仕事は言うまでもなく、ボスとの直接戦闘だ。ボスの遠距離攻撃への回避精度を高めるため、隊単位でのスイッチではなく、小隊を構成するメンバー間での多段階スイッチを攻
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