Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 13. The Wraith
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ボスの部屋が発見されてから数日後、19層主住区一番街の中で一番中央広場に近い一等地に建てられた小綺麗なチャペルに、俺とリーナは顔を出していた。無論、マジメにお祈りなんかするつもりはない。チャペルの二階にある幾つかの空き部屋、その中で一番大きな会議室のような一室で行われる『19層フロアボス攻略会議』に参加するためだった。
名簿によれば討伐パーティーとして集まった面子は意外と少なく、リーダー含んで十五人。そのうちの九人、すなわち全体の六割が偵察隊参加者とのことだった。俺たちは不参加組の方だったが、それを咎められるようなことはない。七層だか八層だか忘れちまったが、一度偵察隊が勢い余ってボスを瞬殺、たった七人でドロップアイテムをがっつりがめた、なんてこともあったからだ。ちなみに、ラストアタックボーナスを勝ち取ったのは、気分で偵察に乗り込んだという女面の黒剣士だとか。リアルラックの強え奴だ。
「今回は少数精鋭って感じだな。ボスは単騎で出現するみたいだし、問題はないだろうけど」
同じく今回の偵察不参加組である幸運野郎は、そう言って行儀悪く円卓に脚を乗っけた。朝九時集合で睡眠が足りてないのか、この前ゲットしたチョーカーの付いた首をボキボキ慣らし、大あくびをかます。共通の馴染であるエギルは商人ギルドで何やら用があるらしく、実戦には出るが会議には不参加だそうだ。あと、俺たちの食糧を食い漁った女剣士ことアスナもいない。いつもは必ず会議に顔を出し、きっつい声できっつい作戦を提示してキリトと大喧嘩する、なんてコントをやらかすんだが、今回は名簿に名前すらない。うるさくなくていいんだけどよ。
その二名がいないため、名簿に名前が在る中で俺が顔を覚えてる奴は、残り二人だけだった。ちなみに一方は馴染みのヤツ、もう一方は馴染みたくもないヤツだ。どっちもボス戦で頻繁に顔を合わせちゃあいるが、会った時の俺の態度には雲泥の差がある。ついでに言えば、こいつらは何故か仲が良いらしく、大体セットで出現しやがるせいでその雲泥の態度も大概ワンセットだ。片方と世間話をしながらもう片方にガンを飛ばすのは、意外とシンドイものがある。
と、噂をすれば影がさすってヤツか、部屋の東端に取り付けられた大扉が開き、その二人を含む小集団が入室してきた。先頭に立っている騎士服の男が円卓の一番上座に着き、俺たちを見渡した。
「全員揃ってるようだね。それではこれより、第19層ボス攻略会議を始めたいと思う。今回の司会を務める、指揮官のディアベルだ。皆、宜しく頼む!」
よく通る声で開会宣言をした馴染みのヤツ、ディアベルに、パチパチとまばらな拍手が送られる。本人も慣れたもので、周囲の握手に頷きを一つ返すと、早速とばかりに大判の羊皮紙を持ち出し、円卓の中央に広げた。その隣には、馴
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