精神の奥底
54 埋められていくピース
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シャツで腰のホルスターの銃を隠すことはできるし、このリネンシャツには内ポケットがあり、幾つかの装備も携帯できる。
携帯性を考えれば、他にも選択肢はあるが、この季節に見合わぬ気温の中では不自然なものばかりだ。
「よし…」
シドウは鏡を見てから、荷物を持ってマンションを出た。
まずは街の状況を知ることからだ。
昨日までの雨天を思わせない天気で視界も良好だ。
右手が自然とアクセルを開いていき、エース・パニッシャーは徐々に加速していく。
デンサンシティへと繋がる橋を疾走し、マンションから3分もしないうちに街の中に入った。
「ハァ……」
街は既にシドウの記憶を超えていた。
前に来た時には無かった建物がばかりだ。
それはかつてまでの中央部だけでなく、郊外にまで発展が広がってきていることを意味していた。
驚きの連続の中、デンサンタワーがよく見える街のメインストリートの中央街を通り抜け、電気街へと達する。
いくつもの路線が交差する交通の中心とも呼べる場所でなおかつ最新の家電からレトロな家電、そしてジャンクパーツ、アニメや漫画のサブカルチャーの中心地でもある。
「……少し見ない間に変わり過ぎだろ?」
赤信号で停止し、思わずヘルメットのシールドを上げ、その目で直接その変化を目の当たりにした。
前々から電気街は発展していたが、更に進化している。
正直、今まではマニアックなパーツや何処で仕入れたかも分からないノーブランドの製品を売る外国人だからけの、少し悪い言い方をすれば小汚い街だった。
金さえあれば、デジタル系のもので手に入らないものはない、手に入らないなら自分で作ればいい、そんな考えの人々の行き交う場所だったのだ。
信号が青に変わると、シールドを下して発進する。
もう目的地はすぐそこだった。
「さすがに大通りは化けても、裏道に入れば大して変わらないもんだな」
路上の駐車スポットにコインを入れ、バイクから降り、ヘルメットを外す。
そこは知る人ぞ知る電気街の名物商業ビルだった。
中には細い通路が何本かあり、その両サイドで祭りの露店のように日夜何に使うのかも分からない形と機能を持ったパーツが売り買いされている、マニアでもなければ立ち入らないような場所だ。
エンジンを切ると、シドウはそこに入っていた。
「……スゴイな、何がスゴイのか分からないがスゴイ」
『随分とマニアックなものが売られていますね』
「分かるのか?」
『電子機器の部品類が大半ですが、ニホンでは普通なら手に入らないようなものまであります』
「おい、兄ちゃん。見ない顔だな」
不意に声を掛けられる。
それもそのはずで、シドウは日常的に来ているわけでもなければ、普段出入りしているマニアの類の人間のようにも見えない。
電
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