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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十話 第五次イゼルローン要塞攻防戦
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、三長官は味方殺しをやむをえないものと判断していたのだ。並行追撃作戦の可能性を指摘した人間がいた事、それが検討されなかった事などイゼルローンからは報告がなかったのだから。
味方殺しは当然非難の対象になる。まして並行追撃作戦の可能性を指摘した人間がいて、その意見が司令官同士のいがみあいから碌に検討されずに無視されたとしたら。クライスト大将とヴァルテンベルク大将は全てを封印して味方殺しはやむを得ない処置であるとして上層部に報告したのだ、保身のために。
そして帝国軍上層部も最終的にそれを是とし俺の作成した戦闘詳報を握り潰した。あの戦闘詳報が公になればイゼルローン要塞の防衛体制の見直しという事になるだろう。具体的には要塞司令官と駐留艦隊司令官の兼任だ。司令官職が一つ減る事になる。それだけではない、この要塞司令官と駐留艦隊司令官の兼任案はこれまでにも何度か提案され却下されてきた。却下した人間には、現在の帝国軍三長官も入っている。最終的な責任は帝国軍三長官にも及ぶ。そして三長官の命を受けハウプト中将が俺に口止めをしている。
「小官の身の安全は保障されるのでありますか」
「何を言っているのだね、卿は」
「小官の身の安全は保障されるのでありますか」
「……もちろんだ、大尉。味方殺しはあってはならない。そうだろう」
「ありがとうございます。失礼してもよろしいでしょうか、閣下」
「うむ。卿の昇進は表向きは補給任務の功によるものとなるだろう。いずれ卿には新しい任務が命じられる。ご苦労だった」
敬礼して部屋をでた。ソファーの中将が睨んできたが知った事ではなかった。敬礼して通り過ぎた。背中に冷たい汗が流れる。多分顔色も蒼いに違いない。
俺は将来の展開がさっぱり読めなかった。まさかこんな事で死亡フラグが立つとは思わなかったからだ。ハウプト中将の保障など気休め程度にしかならないだろう。相手は帝国軍三長官なのだ。たった一つ判っている事がある。次の任務が何かは知らないが碌な任務ではないだろうということだ。
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