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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十話 第五次イゼルローン要塞攻防戦
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が一介の中尉にハウプト人事局長? 本来なら部下の課長(少将クラス)が会って辞令を渡して終わりだ。俺の疑問を感じ取ったのだろう。受付嬢は興味津々といった表情で俺を見ている。面白半分に見てるんじゃない! 俺は受付嬢を睨んだが、女顔のため少しも効果がない。
局長室に行くと部屋の中へ案内された。局長は奥の個室で面会中だろう。部屋の中には中将が一人、少将が二人おりソファーに座っている。敬礼をすると俺の方を見て何だコイツは、という表情をしながら答礼してきた。無理は無い、俺も場違いだと思っているのだ。俺は少しはなれて壁際に立つことにした。こいつら全員の面会が終わるまで俺は立ちんぼだ。憂鬱になったがそれ以上に疑問がある。一体何がある。
奥の個室から将官が出てきた。中将閣下だ。また敬礼だ。こいつも俺の方を見て何だコイツは、という表情をしながら答礼してきた。さっさと出てけ、畜生、お邪魔虫なのはわかっているんだ。ソファーに座っていた中将が立ち上がる。ようやく俺の番だといった表情がある。結構待たされたんだろう。だが彼の希望は打ち砕かれた。
「ヴァレンシュタイン中尉、入りたまえ」
という声が奥から聞こえたのだ。え、俺、間違いじゃないの。ちょっとそこの中将、俺を睨むのやめてよ。多分間違いだって、直ぐ貴方が呼ばれますよ。
「ヴァレンシュタイン中尉、早くしたまえ!」
「はっ。ヴァレンシュタイン中尉、はいります!」
思わず大声になった。急いで部屋に入った。
「は? 昇進ですか?」
「そうだ」
「失礼ですが閣下、何かの間違いでは」
「間違いではない。今回のイゼルローン要塞防衛戦において功績があった」
「功績……ですか。吐いてただけですが」
「昇進に充分な功績を立てている。反乱軍の並行追撃作戦を見抜きクライスト大将閣下、ヴァルテンベルク大将閣下に進言した。補給任務を充分に果たし防衛戦に貢献した」
「並行追撃作戦は全く無視されましたし、補給任務などたいしたことはしていませんが」
「両大将閣下とも無視したわけではない。対応策はとっていた。ただ反乱軍の動きが狡猾過ぎて悲劇が起きたのだ。いいかね、君の意見は無視されたわけではない。充分に検討されたのだ」
なるほど……そういうことか。俺はどうやら虎の尾を踏んでしまったらしい。俺のディーケン少将に送った戦闘詳報には並行追撃作戦のことが書いてある、無視された事も含めてだ。そして今後のイゼルローン要塞防衛に関しては並行追撃作戦の事を常に考慮する必要があると記述してある。ハードウェア、ソフトウェアの観点から防ぐ手段の検討が必要であると。
戦闘詳報を読んだディーケン少将は当然上に報告し、戦闘詳報は兵站統括部から統帥本部へ行き、さらに軍務省と宇宙艦隊司令部に行った。そして三長官は驚愕した。当初
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