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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第213話 広がる輪
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言う事を。


 彼女の言葉は、周りを暖かくしてくれる。周りに笑顔をたくさん作ってくれる。心を落ち着かせてくれる。それは、初めてあった時もそうだった。
 だからこそ、よく判ると言うモノだった。



――隼人が、好きになった理由が。



「ははははっ」
「ちょ、ちょっとー! りゅーきくんも笑い過ぎだよっ! もうっ」

 詩乃が、横目で見てみると 本当に楽しそうに隼人と話をしている。詩乃自身も隼人の事が好き。……だけど、2人のやり取りを見ていたら、嫉妬の類より、その何倍も笑顔に、心、穏やかにさせてくれるのだ。



『私は、第二ラウンド、するんだけどねーっ!』



 その言葉は、以前リズに訊いた事だ。隼人に関しての心の機微をあっさりと見抜かれてしまって、以前に話をした時に リズにも似た様な事があった、と言う事を訊いた。それは、シリカだって同じとの事だ。


――これが、普通なのかな。やっぱり……。確かに少し苦しい時もあるけど、それ以上に……。


 例え恋が実らなかったとしても、傍にいる事は出来るだろう。……本当に大切な友達として。親友として。

――……《朝田 詩乃》 としてではなく、あのGGOの世界で勇猛に戦っている《シノン》であれば、どう言うだろうか。 

 自分自身の事だが、中々答えが出てこなかった。だけど、これだけは判る。
『シノンだったら、前に進み続ける』と。


 そんな時だった。


「まぁ、詩乃が言いたい事はよく判るよ」
「……っ!?」

 色々と考えていた時に突然、話を振られてしまったから、少し驚いたのだ。

「はは。玲奈が可愛い、って事が」
「も、もうっっ!! りゅーきくんっっ!!」

 にこっと笑って言う隼人と、顔を真っ赤にさせて怒る玲奈。
 少しきょとん、とした詩乃だったが、直ぐに笑顔に戻った。

「でも、それ ちょっと惚気に聞こえるかな? 隼人が言うと……さ?」
「っ……、そ、それは……」
「あぅ……///」


 
――いつまでも、変わらない。ずっと、友達でいて欲しい。



 そんな人達が、出来るなんて ほんの数週間前までは考えられなかった。だからこそ、強く思う。

 詩乃は、そっと 隼人の左手の上に、自分の右手を添えた。

 少し、照れくさかったけれど、しっかりと隼人の顔を、目を見て笑顔で声に出さない様に、詩乃は思いの丈を隼人へと向けたのだった。







――私の手を、握ってくれて。……たくさんの輪を紡いでくれて、……ありがとう。





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