Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 12. Don't judge by appearance (4)
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うせ一護くんのことだから、わたしが説明しても『ンなわけあるか』ってキレそうだし」
「ほー、言うじゃねエか、露出狂のクセに」
そう言って、俺たちは笑った。そのまま俺は一歩下がり、代わりに事態の急展開についていけてないっぽいキリトを押し出す。
「キリトくんも、ばーいばい、だよ。可愛いお顔、大事にしてね」
「え? あ、ああ……って、大きなお世話だ。フェイスパターンを変更できるツールを見つけたら、真っ先に作り変えて強面の兵士になってやるぞ」
「えー、もったいないし、似合わないよう。わたしはそのままがいいなー。わたしの裸見たときの顔とか、すっごくいい感じだったし」
「う、うるさいな! それはもういいだろ!!」
「あははー、ま、脳内にこっそりしっかり保存しといてね。わたしからの置き土産だよん」
語尾に音符マークでも付いてそうな軽さで、マツリはキリトをからかった。もう、目の潤みは消え失せている。それを見て、いつの間にか張っていた肩の力が抜けたのを感じた。
「……じゃあ、行くね。短い間だったけど、楽しかったよ。またどこかで会おうね!」
そう言ってマツリは大きく手を振り、光の中へと消えていく。
その黒いシルエットが消え、開いた空間が完全に閉じきるまで、俺たちはずっとその場に立ち続けていた。
◆
「――とまあ、こんな感じだったワケだ」
「……そう」
マツリを見送った俺たちは迷宮区を脱出し、19層主住区へと帰還していた。マップデータ、およびボス部屋の情報公開はキリトが引き受けてくれたので、俺はそのまま拠点にしている宿屋に直帰。ヒマそうになんかのカタログを読んでいたリーナに、事の顛末をざっくりと説明した。
「まさか、ボス部屋解放なんて重要なクエのフラグ立てに、『特定スキルの所持』が採用されてるとは思わなかった」
「まあ、フツーに考えて、その装備を持った奴が一人も存在しなきゃ、そこで攻略が頓挫しちまうからな」
「SAOはクエストの生成・調整機能がある。もしそうなったら、クエストの内容に調整が入るはずだから、そこは大丈夫。私が問題だと感じたのは、その公平性」
自分専用の特大マグカップのお茶を啜りながら、リーナは淡々と考察を述べる。
「無数にあるサブイベントならともかく、ゲーム全体のメインシナリオの中において、そういう『特定のスキルを所持したプレイヤー』が有利になることはあっても明確に必須になることは少ない。条件に合致するプレイヤーが不在だと頓挫しかねないという点もあるけど、最大の問題点はその不公平性にあると思う。
ゲームのメインシナリオの中では、誰もが主人公になり得る。故に、そのフラグ立てはやろうと思えば誰にでも――そのクエストが対象としているレベル帯の
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