Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 12. Don't judge by appearance (4)
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腔を思わせる空間の開き方に俺は身構える。が、予想に反して中は純白の光に満ちていて、黒腔特有の虚無感のようなものはどこにも感じられなかった。
呆然とするキリトを押しのけて駆け寄り、なんの躊躇もなくそこに踏み込もうとするマツリに向かって、俺は叫ぶ。
「おい! テメエ、いったい何モンなんだよ!! 本当に死神なのか!? 浅打を持ってるってことは、まさか護廷――」
「すとーっぷ、だよ、一護くん。それ以上はいけない」
俺の矢継ぎ早の問いかけを遮るようにして、マツリの軽い口調の言葉が響いた。相変わらずこっちに背を向けたまんまで、その表情は見えない。でも、絶対にいい顔はしてないってことが、直感で伝わってきた。
「確かに、わたしは『死神』って呼ばれる存在。悪霊を狩り、寿命が尽きた人間をあの世へ送るのが仕事。外套は制服みたいなもので、刀はその悪霊狩りの必需品。わたしが今の自分について言えるのは、これだけだよ」
逆光で黒いシルエットになった死神は淡々と話した。まるで、そう答えようとあらかじめ準備してたような滑らかさ。いや、コイツがNPCである以上、その台詞は全てシステムによって最初から決められていたもの。どれだけコイツが自由人であっても、自分自身で考えて俺たちと話していたことなんて、一度たりともなかったはずだ。だから、今の違和感は正常なもの、そのはずなんだ。
けど、俺は何故かその現実を素直に受け止めることができないでいた。まるで、マツリという一人の人間が「言いたいことはいっぱいあるけど、最後の別れくらい真面目にしたい」と意地を張ったような、そんな根拠のない感覚が俺の心に居座っていた。
「いろいろ思う事はあると思う。もしかすると、キミたちの頭の中で考えていることは正解かもしれないし、全然検討ハズレかもしれない。そして、その正誤の答えを、多分わたしは持ってる。
でもね、それに答えるのはわたしのお仕事じゃない。わたしはマツリ。能天気でちょっと間抜けな、普通の死神。他人の疑問を解決するなんて頭の良いことはできないんだ。その役目は、もっと相応しい人が担ってくれるよ」
そこまで言って、ようやくマツリはこっちを振り向いた。俺たちを見るその紫の目は、心なしか潤んでいるように見える。
「……本当はもうちょっとおしゃべりしてたいんだけど、もう行かなくちゃ。いろいろ唐突で申し訳ないけど、ここでお別れだよ」
そうはっきりと言われて、俺はようやく我に返った。驚きと戸惑いでみっともなくなっていた面を意識的に引締め、いつものしかめっ面を作る。腕を組み、片頬を吊り上げるようにして、俺は笑った。
「そうかよ。んじゃ、オメーみたいなバカじゃなくて、もっと頭の良い人んトコに行くことにする」
「ん、それがいいよ。ど
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