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Deathberry and Deathgame
Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 12. Don't judge by appearance (4)
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ドゾーン寸前まで落ち込む。

 もう一発、と再度刀を構えようとしたが、騎士の力任せの薙ぎ払いが繰り出され、やむなくバックステップで後退。騎士は狂ったように俺に追いすがり、重低音の雄叫びを上げながら隻腕で大剣を振り回す。スピードはさっきまでと比べて明らかに上がってる。下手すりゃ二倍近い上昇率かもしれない。巨大な刃が通過するたびに突風が巻き起こり、轟々という音が俺の耳に喧しく響く。

 狂乱、とも言える騎士の変貌に、しかし俺は大して動揺することはなかった。普段ならしかめっ面の一つでも浮かべていたかもしれない。「鬱陶しいんだよ!」と、悪態を吐いたかもしれない。
 けど、今この状況下では、そんな不景気なリアクションは出てこなかった。むしろ、俺の顔には挑発するような笑顔が浮かんでさえいた。

「どうした! 剣の振りがえれー雑になったじゃねえか、急によ!!」

 そう。速くなった分、目に映る大剣の太刀筋が、眼に見えて歪み始めていた。
 今まではしっかりと刃を立てた、騎士らしい真っ直ぐな斬撃が飛んできていた。だが、今はなりふり構わないと言わんばかりに、めちゃくちゃに振り回している。偶に剣の腹で打ちすえようとさえしてくる。当たれば他はどうでもいい、と言わんばかりの歪なラッシュには、モンスターには存在しないはずの「焦燥」が浮かんでいるように見えた。

 何十回目か大ぶりの袈裟切りが空を切り、地面にぶち当たって剣撃が一瞬止まる。その隙に俺の《尽月》が再発動。一番最初に傷つけた右手首を強打し、そのまま斬り落とした。途端に響く、最大音量での絶叫。剣よりこの音でダメージ食らうんじゃねえか、と、余計な考えが頭に浮かぶ。

 その瞬間、騎士の兜が横に裂け、怪獣のような牙が生えた口が出現。そのまま面を突き出すようにして騎士が噛みついてきた。向こうとしちゃあ意表を突いたつもり、なんだろうが、

「わりーな、デケーのに噛みつかれんのは慣れっこなんだよ!!」

 大虚に比べりゃあチンケなもんだ。俺は刀を真横に一閃、面防の隙間を斬り裂く。視界を潰され、残りHPを数ドットまで減らした騎士は、のけぞって後ろに倒れ込んだ。

「さて……これでテメエは俺を見ることができねえ。武器を使うこともできねえ。拳さえも握れねえ。どーだ、殺る側から殺られる側に堕ちた気分はよ」

 俺は刀を肩に担いで、ゆっくりと近づく。なんの恨みもないはずのこの騎士にここまでやるのは、戦闘で神経が高ぶってるせいか、それとも……いや、どうでもいいか。
 最早起き上がることすらできなくなった騎士の前に俺は立ち、刀を上段に構える。紅い刃に《尽月》の群青色のエフェクト光が加わり、鮮烈な紫の光となって刃に宿り、騎士の鈍色の甲冑を暗く染める。

「……そんじゃあ、終わりだ」

 それだけ言って
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