Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 12. Don't judge by appearance (4)
[1/7]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
振り下ろされた鉄塊のような大剣を、真正面から受け止める。相手の力を確かめるためにやってみたが、思った以上に衝撃が強い。『霊格解放』の効果で押し止めることはできるが、なかったらそのまま斬られちまいそうだ。峰を支えていた手を外し刀身を逸らして大剣を受け流す。地面に叩きつけられた剣先が地面に深々と突き刺さり、斬撃の威力の大きさを物語る。
うなりを上げて迫る大剣を躱しつつ、俺は斬撃直後の隙を突いて、一気に懐に潜り込む。そのまま刀を一閃して胴を斬るが、騎士甲冑に阻まれてダメージが通らない。というか、刃が入っていかない。切っ先が一センチくらいめり込んだだけの浅い傷が刻まれ、すぐに消えた。騎士の反撃を大きく後ろに跳ぶことで避けつつ、軽く舌打ち。マツリの言うように、相当堅いみたいだ。
が、その分剣速は遅い。斬撃の後半は重力で加速するが、そこに至るまでに数秒かかってる。恋次の蛇尾丸みたいな変幻自在の軌道が取れない以上、振り始めさえ見切れば、例え太刀筋を見なくても避けられる。
そして、剣を振るうスピードが鈍いってことは、
「隙だらけなんだよ!!」
甲冑の継ぎ目にピンポイントで刀を叩き込む余裕も、十分にあるってことだ。
斬りおろしを身体を捻って避け、《浮舟》で剣を持つ手の篭手の隙間を斬りつけた。さっきまでの鉄の塊を打ったような感覚とは違う、わずかに柔らかい手ごたえ。HPバーが、初めて明確に減少した。
「……よし。弱点がわかりゃあ、後は斬るだけだ!」
優にニメートルを超える大剣のせいで、騎士は小回りが利かない。空いた左手で殴ってくるかとも思ったんだが、馬鹿正直に両手で剣を握りっぱなしで、一向に放す気配はないように見えた。
だからって別に容赦してやる義理もねえし、と思い、距離を取ろうと後退し続ける騎士の懐に入り、騎士甲冑の継ぎ目目掛けて縦横無尽に刀を奔らせる。ガンメタのプレートの隙間に刀の先端がめり込み、抉り、貫くたびに、HPバーが少しずつ、確実に減少していく。その度に騎士は恨めしそうな呻き声を上げ、俺を怨嗟の籠った目でにらむ。
HPバーはたちまち半分を割り込んだ、すると、騎士はようやく剣を放して拳骨を作り、攻撃直後の俺の脳天へ振り下ろしてきた。チャドを思わせる剛の一撃、だが、
「ほいっと!」
背後に忍び寄っていたマツリの廻し蹴りが肩に命中。軌跡がねじ曲がり、身体が前につんのめる。
「キリトくん! 後よろしくー」
「おう!」
さらに、足元にスライディングですべり込んだキリトの《レイジスパイク》が膝の継ぎ目を貫通、足が一本宙に浮かぶ。そのまま騎士は自重に負け、派手な音を立ててすっ転ぶ。
俺はその先で待ち構えて渾身の《尽月》を肩口に叩き込み、騎士の左腕を切断した。HPバーがグイグイ削れ、一気にレッ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ