Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 11. Don't judge by appearance (3)
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マツリへの仕置きが済んで三十分後、俺たち三人は隣の西エリア最上層へと来ていた。わざとらしいくらいに通路はく薄暗く、光源は胸くらいのたかさにポツポツと設置された燭台のみ。おかげで天井近くは真っ暗でほとんど何も見えず、モンスターの恰好の隠れ場所になってしまっている。
「次!」
暗闇から湧く一番典型的な亜人系隠密モンスター《シーフゴブリン》の首を刎ね飛ばし、次に襲いかかってきた別のゴブリンのダガーを受け止める。いかに俺と同レベルでも、スピード型のコイツは力押しに弱い。両手で柄を握り締めて強振、武器を跳ね飛ばし、返す刀を喉元に叩き込んで突き放す。そのままトドメの一撃を――
「もーらいっ!」
加える前に、マツリが飛び蹴りで仕留めてしまった。虚化した白を思わせる見事なフォームでゴブリンのブッサイクな顔面を踏んづけ、そのままHPをゼロまで削りきった。マツリの最初の不意打ちを避けてなかったら俺もこうなってたのかと思うと、ちょっとゾッする。
「おいマツリ! 俺の戦ってる横からすっ飛んでくんじゃねえよ! 危ねえだろうが!!」
「一護くんなら危なくても避けられるでしょー? 問題ない問題ないっと!」
「ぅおうっ!?」
俺のこめかみにギリ当たるコースで飛んできたマツリの高速蹴り込みをしゃがんで避ける。その背後に迫っていたゴブリンを《浮舟》でふっ飛ばし、宙に浮いた身体を大上段からの単発強攻撃《尽月》で両断。同時に、俺の背後でもポリゴンの破砕音が響く。
「ほーらね! ちゃんと避けれた!」
「うるっせえ! テメエが来ると余計な手間が増えんだよ! 大人しく引っ込んでろ!!」
「えー、背後にいた敵の存在に気づけなかった人がそんなこと言う―?」
「気づいてたし俺一人でなんとかなったつーの! オメーこそ敵を引き連れてこっちに来やがって、ジャマしに出てきたのか!?」
「なんだとー、レディに向かって邪魔とはシツレイなー」
「遊んでるなよ二人とも! 前方の通路に新しい敵の反応だ、注意!」
《シャープネイル》の三連撃でゴブリンを穴だらけにしたキリトが、背中合わせでゴブリンを掃討していた俺たちに向かって叫ぶ。この中で唯一『索敵』スキルをもってるために、モンスターの湧きに対する反応は一番早い。目の前のゴブリンを斬り伏せた俺がそっちを見ると、確かに薄闇の中でなにかが動くのが見えた。
「敵の数は二体、うち一体は――」
「先行くぜ!」
「あ、おい一護!?」
キリトの注意喚起が終わる前に、俺は一直線に通路を疾走。新しく出てきたモンスターへ斬りかかる。相手が行動を起こす前に、先手を打って斬っちまうのが一番速い。視界に捉えたゴブリンのダガーが動く前に、俺の《浮舟》が発動。敵の薄汚れた細い腕を斬り落とし、返しの一閃を振るって仕留める
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